第113回国会(臨時会)
質問第一一号
東北地方を中心とした異常気象災害に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。 昭和六十三年十月三日 下田 京子
東北地方を中心とした異常気象災害に関する質問主意書 記録的な長雨と日照不足、低温などの異常気象のため、福島県・宮城県などを中心に農作物の成育の遅れや収穫の減少、病害虫被害の多発などが急速に広がり、農家の打撃は深刻なものとなつている。農民からは「大幅減反と二年連続の米価引下げ、その上、牛肉・オレンジの自由化決定など、先々の不安を感じていたところへこの災害ではこの先どうなるのか予想もつかない」と悲痛な苦悩の声が寄せられている。
一 政府は実態の把握を急ぎ、天災融資法及び激甚災害法の発動を速やかに行い、以下の対策を講ずべきと思うがどうか。 1 貸付限度額の大幅引上げ、償還期限の延長、金利の引下げを行うこと。
二 被害の影響が全作物に及んでいることからも農家の苦悩は大きく、農業共済の早期支払体制の確立が待たれている。したがつて、被害の実態に即した公正・的確な評価を行い、必要に応じた共済金の仮渡しや再保険金の概算払い等の実施を急ぐよう指導するなど適切な措置を講ずるとともに、以下の対策を採るべきと思うが、政府の見解を示されたい。 1 五十八年冷害の救済対策としては、損害評価の特例措置が実施されたが、青米、褐色米及びクズ米は収量から除くなど、今回の災害でも損害評価の特例措置を図ること。
三 米穀の事前売渡申込み後の被災農家については、政令により変更の再契約ができるものとされている。被災農家の要望を尊重し再契約を認め、自治体に対する指導の徹底を図るとともに、以下の対策を講ずべきと思うがどうか。 1 予約概算金返納については要件を緩和し、利子加算の減免を図ること。
四 福島県及び関係自治体、農協などの指導により、再三いもち病等防除のため薬剤散布を行つてきたところであるが、長雨のためその実効があがらず、防除費及び緊急排水対策に要した費用は被災農家の大きな負担となつている。農家負担の軽減を図り、今後の農業経営を保障するために特別の補助を行う等の施策を実施するとともに、以下の対策を講ずべきと思うがどうか。 1 被害水稲の刈取り、乾燥、運搬等に対する特別の助成を行うこと。
五 被災地域農家の生活難が推測されるところから、地域の要望に基づく救農事業や生活・農林業関連の公共事業が切実に求められているところである。よつて、以下の対策についての政府の見解を示されたい。 1 出稼ぎを希望する農家に対しては、農業共済の評価や米の検査などを早急に行い、就労先のあつせんに特別の対策を採ること。
六 今回の被害の実態を踏まえ、減反面積を見直し、需給計画をゆとりあるものに再検討すべきと思うがどうか。また、米の自由化は絶対に行うべきではないと思うが、政府の見解を明らかにされたい。 右質問する。 |