質問主意書

第112回国会(常会)

答弁書


答弁書第三号

内閣参質一一二第三号

  昭和六十三年二月十六日

内閣総理大臣 竹下 登   


       参議院議長 藤田 正明 殿

参議院議員塩出啓典君提出マンション問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員塩出啓典君提出マンション問題に関する質問に対する答弁書

一について

 マンションについては、管理組合が自らその管理を行うもののほか、管理業者に委託して管理を行つているものが増加している。
 このような状況を踏まえ、マンションの管理規約の作成に当たつての指針となる中高層共同住宅標準管理規約及びマンションの管理委託契約の締結に当たつての指針となる中高層共同住宅標準管理委託契約書の作成及びこれらの周知を行うこと等により関係者に対し必要な指導等を行つているところであり、今後とも、引き続きこれらの施策を推進してまいりたい。

二について

 マンション管理業者については、中高層分譲共同住宅管理業者登録規程(昭和六十年建設省告示第千百十五号)に基づき、営業年度ごとの登録業者の現況報告書等を公衆の閲覧に供し、管理組合等に対し登録業者の管理実績、財務状況等の現況を公表しているところである。

三について

 建設省においては、適切な大規模修繕工事の実施を促進するため、従来から中高層共同住宅標準管理規約の周知等を通じて修繕積立金の積立てを奨励するとともに、住宅金融公庫において、管理組合を対象とした住宅改良資金の貸付けを行つているところである。また、財団法人マンション管理センターにおいても、大規模修繕工事の実施及びその資金の調達に係る指導、相談等の業務が行われているところである。
 今後とも、適切な大規模修繕工事の実施を促進するため、必要な施策の検討を行つてまいりたい。
 なお、修繕積立金の預金利子に対する非課税措置については、一戸建て住宅の所有者が修繕の目的で積み立てている預金利子との税負担の公平の観点等から困難であることを御理解いただきたい。

四について

 宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号)第四十条においては、宅地建物取引業者が自ら売主となる建物の瑕疵担保責任に関し、瑕疵担保責任を負う期間について建物の引渡しの日から二年以上となる特約をする場合を除き、民法(明治二十九年法律第八十九号)に定めるものより買主に不利となる特約をしてはならないこととしている。
 昭和五十八年に実施した「建築工事瑕疵問題実態調査」においても、マンションにおける不具合は、入居後二年以内に集中的に発生しているものの、二年を超えて発生する不具合も相当数あることから、その対応策等について検討することが必要と考えている。瑕疵担保責任期間の延長については、瑕疵か否かの判断が一層困難になることやその費用の最終的な負担の問題等解決すべき問題も多いことから、直ちに延長することは難しいと考えられるが、マンションの長期保証の充実に向けて、アフターサービス制度の確立等につき早急に検討を行つてまいりたい。

五について

 昭和五十八年法律第五十一号により改正された建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)については、必要に応じて、関係団体と協議しつつ、今後とも、その趣旨の周知徹底に配慮したい。

六について

 マンション管理に係る問題については、行政の多岐の分野に関連していることから、関係各部局が、相互に密接な連絡を図りながら対処しているところである。今後とも、関係各部局の連絡を一層密にし、マンション管理に係る行政を推進してまいりたい。

七について

 コンクリートに含まれる塩化物の総量の規制は、「コンクリートの耐久性確保に係る措置について」(昭和六十一年六月二日付け建設省住宅局建築指導課長通知)に基づき、昭和六十二年四月から半年間の猶予期間をおいて実施されているところである。同年五月の実施状況調査では約半数の特定行政庁で既に塩化物量測定の指導及び測定結果の報告の義務付け等の措置が採られていた。さらに、同年十月一日以降は総量規制に完全に移行しており、今後とも、塩化物総量規制の徹底を図つてまいりたい。
 また、マンション販売時におけるコンクリートの品質表示の問題については、塩化物含有量の規制が充実されてきていることもあり、慎重に検討してまいりたい。