第112回国会(常会)
答弁書第一号
内閣参質一一二第一号 昭和六十三年一月二十九日 内閣総理大臣 竹下 登
参議院議員野田哲君提出竹下総理の一連の神社参拝に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員野田哲君提出竹下総理の一連の神社参拝に関する質問に対する答弁書 一について 竹下内閣総理大臣は、昭和六十三年一月一日に北沢八幡神社へ、同月四日に伊勢神宮へ、同月五日に明治神宮及び日枝神社へ参拝している。 二の1、2及び3について (一) 北沢八幡神社、明治神宮及び日枝神社について (1) 明治神宮については、国務大臣粕谷茂が同行している。北沢八幡神社及び日枝神社については、国務大臣は同行していない。
(二) 伊勢神宮について (1) 同行した国務大臣の氏名は、林田悠紀夫、藤本孝雄、佐藤隆、田村元、石原慎太郎、中山正暉、中村太郎、越智伊平、梶山静六、高鳥修、中尾栄一、伊藤宗一郎及び堀内俊夫である。
二の4、5及び6について 内閣総理大臣の各神社への参拝は私的なものであり、参拝の目的、拝礼の形式等については、回答を差し控えたい。なお、参拝した際に公費は支出していない。 三について 公式参拝とは公務員が公的な資格で参拝することを指し、私人の立場で参拝することは私的参拝であると考えている。国務大臣の神社等への参拝に係る公私の区別の基準については、昭和五十三年十月十七日の政府統一見解の考え方のとおりである。 四及び七について 大日本帝国憲法においては、安寧秩序を妨げず臣民たるの義務に背かない限りにおいて信教の自由を保障していたが、現行憲法は、信教の自由を実質的なものとするため、第二十条第一項前段及び第二項において信教の自由を保障した上、国その他の公の機関が宗教に介入し、又は関与することを排除する見地からいわゆる政教分離の原則に基づく規定として同条第一項後段及び第三項並びに第八十九条の規定を設けたものであり、現行憲法のこれらの規定を尊重すべきことは当然であると考える。 五について ある特定の行為が憲法第二十条又は第八十九条の規定に違反するかどうかは個別具体的に判断されるものであるが、一般的にいえば、例えば、国が、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを国民に対して強制したり、公の財産を宗教団体の使用、便益又は維持のため支出し又はその利用に供したりすることは、憲法のこれらの規定に違反する。 六について 公式参拝とは三についてにおいて述べたとおりであり、私人の立場での参拝は、それが繰り返されたとしても、公式参拝となるものではない。なお、伊勢神宮への参拝は、昭和三十年に鳩山内閣総理大臣が行て以来、昭和三十六年から昭和三十九年まで、昭和四十一年及び昭和四十九年を除き、毎年、当時の内閣総理大臣が行つているところであるが、これらはいずれも私人の立場で行われたものである。 |