質問主意書

第109回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一二号

内閣参質一〇九第一二号

  昭和六十二年九月二十九日

内閣総理大臣 中曽根 康弘   


       参議院議長 藤田 正明 殿

参議院議員黒柳明君提出ペルシャ湾の安全航行確保問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員黒柳明君提出ペルシャ湾の安全航行確保問題に関する質問に対する答弁書

一及び二について

(1) 我が国は、ペルシャ湾における安全航行の最大の受益国の一つであり、政府としては、同湾における日本人乗組員及び日本関係船舶の安全確保にできる限り努力するとともに、国際社会の責任ある一員として同湾をめぐる情勢の改善のために応分の貢献を行うことが必要であると考えている。
(2) ペルシャ湾における日本人乗組員及び日本関係船舶の安全の確保については、政府として、これまで、我が国海運労使に対しこの海域における航行安全対策の実施を指示してきたところであるが、最近のペルシャ湾情勢の一層の緊迫化にかんがみ、関係省庁及び海運労使の一層緊密な連絡体制を整え、同湾内外の航行安全に関する情報等を海運労使に対し迅速に伝達する等の措置により、この海域における安全航行の確保が図られるよう最大限の努力を払つていく所存である。
(3) また、政府は従来から、ペルシャ湾情勢の緊張の背景にあるイラン・イラク紛争を解決するための外交的努力を積極的に展開するとともに、イラン及びイラク両国に対して湾内外における戦闘行動の自制を強く働きかけているところであり、今後ともかかる努力を継続していく所存である。
 さらに、我が国としてペルシャ湾における安全航行の確保のために右外交的努力に加えて行い得る適切な貢献がある場合には、可能な限り積極的にこれを行うべきものと考える。
 このため、外務省内において検討を行つているのは事実であるが、部内的な検討の具体的内容について答弁することは差し控えたい。

三について

(1) 御指摘の委員会における内閣総理大臣の答弁は、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第九十九条による機雷の除去に関する質問に対する答弁であるところ、浮遊しているか定置されているかを問わず、公海上に遺棄されたと認められる機雷について、それが我が国船舶の航行の安全にとつて障害となつている場合に、その航行の安全を確保するために、これを除去する行為は武力の行使に当たるものではなく、自衛隊法上可能である旨を答弁したものである。
(2) なお、一般に機雷の除去が武力の行使に当たるか否かは、それがいかなる具体的な状況の下で、またいかなる態様で行われるか等により判断されるものであり、一概に言うことは困難である。

四について

 自衛隊法第九十九条に基づく海上自衛隊の機雷等の除去の権限は、公海にも及び得るが、具体的にどの範囲にまで及ぶかについては、その時々の状況等を勘案して判断されるべきであり、一概には言えない。