第109回国会(臨時会)
答弁書第一一号
内閣参質一〇九第一一号 昭和六十二年十月二日 内閣総理大臣 中曽根 康弘
参議院議員木本平八郎君提出マル優等非課税貯蓄制度改正に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員木本平八郎君提出マル優等非課税貯蓄制度改正に関する質問に対する答弁書 1 今回の税制改正では、改正前の非課税貯蓄制度について、多額の利子が課税ベースから外れて給与所得等との間で税負担の不公平をもたらしているとともに、高額所得者ほどより多くその恩典を受けているという現状にあるほか、今日において貯蓄奨励といつた目的で一律的に政策的配慮を加える必要は薄れてきていること等に顧み、少額貯蓄非課税制度、郵便貯金非課税制度及び少額公債の利子非課税制度を老人等に対する利子非課税制度に改組するとともに、勤労者財産形成住宅(年金)貯蓄の利子所得等の非課税措置を講じた上、これら以外の利子所得については一定の税率による源泉徴収により他の所得と分離して課税することとしたものである。 2 この利子所得の源泉分離課税方式は、発生の大量性、その元本である金融商品の多様性、浮動性といつた利子所得の特異性に適合した課税方式であり、かつ、今回新たに、郵便貯金取扱機関に課税に関する事務負担を求めること及び地方税において利子割課税制度を導入することへの配慮の必要性並びに簡素、中立及び効率という要請にも応える適切な課税方式であると考える。
3 利子所得についてその支払時に一定の税率による源泉徴収を行い、確定申告の際に源泉徴収税額の還付を認めることについては、預貯金の口座数及び貯蓄者数等が極めて多数に上つている状況に照らせば、膨大な還付事務等に的確に対応するために納税者番号のような大がかりな制度を必要とするほか、納税者、金融機関、郵便局及び国・地方の税務当局に膨大なコストと事務負担を強いることになること等から、現在の納税環境及び税務執行体制に顧みれば、現実的でなく、適当でないと考える。
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