質問主意書

第109回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一七号

首都高速道路公団の「高速料金値上げ」に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和六十二年九月十八日

青木 茂   


       参議院議長 藤田 正明 殿


   首都高速道路公団の「高速料金値上げ」に関する質問主意書

 本年九月十日、首都高速道路の通行料が五百円から六百円に値上げされた。前回の値上げから、わずかに二年八ケ月。この間、巷では円高デフレなどといわれ、物価は沈静していたことから見ても、この二十パーセントの値上げは、いかにも唐突で突出していると考える。
 この値上げに関しては、建設省、運輸省の監督下にある首都高速道路公団の機構、運営方針など、内部的問題も大いにあると考えられる。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 今回の料金値上げに直接関係する問題としては、回数券問題がある。回数券による料金収入は全料金収入の約四割で、年間約五百五十億円。このうち高速道路の料金所で販売される額が約百五十億円。残りの約四百億円分は、公団が外部に委託して販売しているといわれている。
 具体的には、公団の外部団体の財団法人・首都高速道路協会に販売委託され、その協会からさらに民間の会社に委託されているわけだが、その委託手数料が、協会の段階で売上げの一パーセント、民間会社の段階で三パーセントといわれている。これは事実か。

二 一で述べたように、公団が協会や民間業者に委託せず、直接販売すれば、委託手数料は支出されずにすむものと考える。これはムダではないか。

三 工事の施行管理、技術的な調査、高速道路の点検、清掃などを首都高速道路公団から委託されているという首都高速道路技術センターも屋上屋を重ねるムダな支出と考えるが、どうか。

四 しかも同技術センターは公団の工事入札参加有資格名簿に登録されていないと聞いている。公団から業務を委託される場合には、この名簿への登録が義務づけられているにもかかわらず、同センターに施工管理・調査などを全面委託しているのはなぜか。問題はないのか。

五 首都高速道路協会及び首都高速道路技術センターは、首都高速道路公団の天下り機関であり、そこにドライバーの払つた料金が吸い上げられるシステムがつくりあげられているという批判がある。この批判をどう受けとめているのか。

六 昭和三十七年首都高速道路の開通当初、三十年償還期間が過ぎれば、無料開放されると約束されていたが、いまやほごにされようとしている。
 一公団といえども、行政機関の一つである。その約束は、政府の国民に対する約束である。それが、事情が変わつたということだけで一方的に破棄されてよいのか。政治に対する国民の信頼を失わせるアリの一穴にならないか。
 いま、国民の間では、年金は払うだけでもらえなくなるのではないかという声さえ出はじめている。
 こうした国民の不安をうち消すためにも、約束を守る姿勢は崩すべきではないと考えるが、どうか。

七 以上のような公団の種々の問題を解決、改善しようとせず、値上げを繰り返すことは納得できない。政府の見解を示されたい。

  右質問する。