質問主意書

第109回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一一号

マル優等非課税貯蓄制度改正に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和六十二年九月七日

木本 平八郎   


       参議院議長 藤田 正明 殿


   マル優等非課税貯蓄制度改正に関する質問主意書

 昭和六十二年度税制改正において、政府はマル優等非課税貯蓄制度の見直しを実施しようとしているが、これには幾つかの重要な問題を含んでいると考える。その主なものは次の二点であり、これについての政府の見解と対応策を伺いたい。

一 利子に対する課税方式を一律分離課税方式にすることによる所得控除の権利の喪失

 各般の事情により利子所得に依存せざるを得ない低所得者にとつては、マル優等の非課税貯蓄制度の廃止による負担増に加えて、課税貯蓄については総合課税方式を改め、一律二十パーセントの分離課税方式をとることとしているため、従来、申告によつて還付を受けていた源泉徴収分までが還付されないこととなる。
 また、これは単に負担増の問題だけでなく、基礎控除をはじめとする人的控除という、国民として当然認められるべき税制上の基本的な権利を奪うことになる。
 また、遺族年金の受給者については、マル優等の適用は残されるが、遺族年金は本来非課税であるため、今回の減税を享受し得る立場にない。加えて前述のように、課税貯蓄については、従来、総合課税制度のもとで申告により還付を受けていたものについても、今回の改正により還付が受けられなくなる。

二 非課税貯蓄適用年齢を六十五才以上としたことによる退職者の生活の圧迫

 わが国企業の一般的な退職年齢は、その目標を六十才に置いており、それに近づきつつあるのが現状である。また、再就職については、相対的にかなり劣悪な条件に甘んじなければならない状況にある。
 しかるに今回の改正において、非課税貯蓄適用年齢を六十五才以上とすることにより、六十五才未満の退職者は、退職金を含む老後資金の運用利子等に依存しなければならないにもかかわらず、これらがすべて二十パーセントの課税を受けることになる。
 以上二点についての対応策として、利子所得に対する課税方式としては総合課税を併用し、申告による還付の道を残す必要があると考えるが、政府の見解を問う。

  右質問する。