質問主意書

第109回国会(臨時会)

質問主意書


質問第六号

中小企業信用補完制度に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和六十二年八月十二日

木本 平八郎   


       参議院議長 藤田 正明 殿


   中小企業信用補完制度に関する質問主意書

 政府は、中小企業の円高不況克服の一助として、中小企業信用保険公庫及び信用保証協会の機能充実に努め、国際経済関連保証、新技術企業化保証、転換関連保証並びに別枠保証増額等極めて細かく対応しているが、過日新潟県燕市の金属、食器及び金属ハウスウェア業界の実情を視察したところ、せつかくの政府施策が末端実施段階で必ずしも有効に機能していないことが判明した。
 燕市の同業界は、血のにじむような自助努力、すなわち経営の合理化及び従来からの大量生産型中級品から手造り工芸品的な高級品への転換による製品の高付加価値化を推進することにより、倒産廃業の多発を食い止め小康を保つているものの、すでに力を出し切り、担保を使い切り、ほぼ自助努力の限界点に達している。
 したがつて今後ますます必要となる新製品開発資金、いわゆるR&D資金の調達が極めて困難な状況にあり、当然信用保証協会に相談しているが、昨今審査が厳しく、十分な担保がない場合パスすることは難しい。このままではR&D資金不足のため成長性を失い、次のステップで減退しかねないと危惧している。
 仄聞するところ、信用保険公庫の赤字三千五百億円を解消するため、昭和六十、六十一、六十二年度については中央よりの締めつけが厳しいようであるが、仏作つて魂入れずのことわざどおりとなつていると考えられる。
 以上、これらの実情を踏まえ、次の諸点について政府の意向並びに見解を伺いたい。

一 信用保険公庫の赤字を別の財政措置により、解消せしめる考えはないか。

二 地域経済活性化の観点より、地方自治体首長の要請に基づき、R&D資金に対しては、無担保保証を認めるような行政措置を取れないか。(現行の無担保保証額は一件五百万円でR&D目的には過少である)

三 R&D資金に対しては担保充当率を引き下げるべき行政措置は考えられないか。

四 R&D資金に対しては、申請者がすでに所有している技術あるいは当該資金により開発される新技術を無形資産として認定し、これを担保として評価するすべは考えられないか。

  右質問する。