質問主意書

第108回国会(常会)

質問主意書


質問第一六号

米戦闘機のミサイル落下事故に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和六十二年四月二十一日

吉川 春子   


       参議院議長 藤田 正明 殿


   米戦闘機のミサイル落下事故に関する質問主意書

 去る四月三日、広島・島根両県境上空を飛行中の米海兵隊岩国基地所属の戦闘機F4ファントムが同基地に帰投中、ミサイルを落下させるという重大事故が発生した。
 しかるに事故発生以来二週間を経過した今なお、ミサイルは発見されておらず、その爆発の可能性が存在することから、関係地方自治体と住民はいつそう不安をつのらせているところである。
 岩国基地の米軍機による事故は一九四八年以来主なものでも四十三件にものぼつている。同基地の存在は地域住民の安全を脅かすものであり、根本的には、米軍基地の撤去、日米安保条約の廃棄こそが、住民の生命・財産の安全を確保する最大の保障であると考える。
 この事故が引き起こした関係住民の不安を解消するため、ミサイルの早期発見と原因の徹底解明、再発防止措置に万全を尽くすことが求められていると考えるので、以下のとおり質問する。

一 ミサイルの落下地点に関する情報について

 現在に至つてもミサイルが発見されていないため、住民はミサイル落下地点に関する正確な情報を強く求めている。
 事故機の飛行データは米軍のみが知りえているところであるが、未だに全容は公表されていない。
 よつて、事故機について次の諸点を明確にされたい。

1 飛行目的
2 飛行経路
3 ミサイル落下時点前後の高度及び速度
4 ミサイルの落下時刻及びパイロットが落下を確認した時刻

二 事故原因と米側の責任について

 この落下事故は米軍によつて引き起こされたものであり、日本国民に不安を生じさせた米側の責任は免れない。よつて政府は、米側に責任の所在と原因の徹底究明、公表を要請すべきであると考えるが以下の点について明らかにされたい。

1 ミサイル落下の原因は、「何らかの事故によりミサイルのとめ金が外れたため」と報道されているが、ミサイルは通常の飛行中は戦闘機に厳重に固定されており、落下することはありえない。とめ金がはずれたというのは、同機が射撃操作姿勢で飛行していたためではないのか。
2 ミサイルのロケット燃料は点火されていたのかどうか。起爆装置は作動していたのかどうか。
3 ミサイルは「通常は爆発しない」と報道されているが、断言できるのか。
4 仮に爆発が起こればどういう被害が想定されるのか。

三 捜索の体制、方法、手段等について

 以下の諸点について明らかにされたい。

1 事故発生時より現在までの・米軍、警察、自衛隊それぞれの毎日の捜索人員数、ヘリコプター等の実働機数
2 現在までに捜索した地域と今後捜索する予定地域の地名
3 今後の捜索方針と体制について
4 関係地方自治体は捜索に努力しているところであるが、その捜索に要する経費について政府は全額負担すべきであると考えるが、これについての政府の見解

  右質問する。