質問主意書

第107回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一七号

わが国への米戦略爆撃機B52飛来に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和六十一年十二月十六日

喜屋武 眞榮   


       参議院議長 藤田 正明 殿


   わが国への米戦略爆撃機B52飛来に関する質問主意書

 去る十二月一日未明から、グアム島に配備されている米国戦略空軍所属のB52戦略爆撃機十二機が、台風からの避難を理由として、沖縄県の嘉手納飛行場へ飛来し、四日間にわたつて滞在した。
 これは、十月三日の十機飛来に続いて今年二回目であり、沖縄の復帰後通算二十七回目の飛来に当たるものである。
 そこで、沖縄では今回も、地元の嘉手納、北谷両町議会が抗議決議をしたのをはじめ、沖縄県議会でも、十二月十日開会の定例県議会において、早速、与野党全会一致で、通算十四回目の「抗議決議」を採択する予定であり、B52飛来反対の強い意思表示をしている。
 今回飛来したB52は、嘉手納町当局の測定によれば、十二月一日に限つても、七〇ホン以上の爆音が通算六時間半にわたつて続き、最高一一三ホンに達するすさまじい爆音公害を現実にもたらしたばかりか、過去に発生した墜落事故の恐怖と核兵器搭載の限りない疑惑とを、沖縄へ、わが国へ、運んで来たのである。
 よつて、以下の質問をする。

一 今回嘉手納基地へ飛来したのは、B52戦略爆撃機十二機、KC135空中給油機五機、WC130気象観測機三機と要員百人であると言われているが、政府が確認した、これらの機種、機数及び要員数を明らかにされたい。

二 これらが飛来した年月日と時間及び全機が飛び去つた年月日と時間、並びにこれらがわが国に滞在した時間を明らかにされたい。

三 これらが飛来するという通告が、米側からわが国になされた年月日及び時間、並びに通告ルートについて明らかにされたい。

四 グアムに配備されているB52の機数については、十二機とも十三機とも言われているが、政府が確認している機数は何機か、示されたい。

五 本年十一月二十九日付けの朝日新聞夕刊によれば、「米国防総省は二十八日、空中発射核巡航ミサイル(ALCM)を装着した百三十一機目のB52戦略爆撃機をテキサス州カースウェル空軍基地に配備した。米国の戦略核戦力はこれにより、複数目標弾頭(MIRV)の弾道ミサイル保有数が千百九十基、ALCMミサイルが百三十一機で計千三百二十一基となり、第二次米ソ戦略兵器制限条約(SALTII)で定められた上限(両戦力の合計が千三百二十基まで)を突破。米国は同条約順守の道を放棄した。」と報じられている。
 この報道の事実内容を政府は確認しているか、示されたい。
 また、ここに掲記されている「百三十一機のB52」の中には、当然、「グアムに配備されているB52」も含まれているものと理解されるが、そう解してよいか、政府の見解を伺いたい。

六 従つて、グアムに配備されているB52には、空中発射核巡航ミサイル(ALCM)が装着されているものと理解されるが、そう解してよいか、政府の見解を伺いたい。

七 また、グアムのB52には核弾頭も積載されているものと考えられるが、そう理解してよいか、政府の見解を伺いたい。

八 前述の文脈にしたがえば、グアムに配備されたB52は米国の核戦力の一環であり、その重要な機能を果たしていることは明瞭であると思うがどうか、政府の認識を示されたい。

九 このような重大な機能を有するグアムのB52の全機ないしはほぼ全機が、わが国の領土である沖縄県嘉手納基地に飛来し、四日間にわたつて滞在することは、米国の核戦力の重要な一翼を担うグアムの全核戦略機能を、一時的にせよわが国に移駐したことになるのではないのか、政府の見解を示されたい。

十 もし、九において述べたとおりだとすれば、それは、わが国の「非核三原則」に抵触することとなるのではないのか、政府の見解を明確に示されたい。

十一 さらに、このような役割を担つたグアムのB52がわが国に飛来する時には、当然に「事前協議」の対象となると思われるがどうか、政府の見解を示されたい。
 なお、今回の飛来通告がなされた時には、実際には「事前協議」がなされたのではないのか、その事実の有無を明らかにされたい。

十二 最後に、政府は、B52飛来のたびごとに示される、沖縄県民の与野党を問わぬ全県的な反復的かつ持続的で切実なB52飛来反対の強い意思表示に対して、どのような見解を持つているか。そして、この沖縄県民の強い要望を受けて、政府は、今後この件に関してどう対応するのか。誠意ある見解を示されたい。

  右質問する。