質問主意書

第107回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一六号

「日米防衛協力のための指針」の扱いに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和六十一年十二月四日

志苫 裕   


       参議院議長 藤田 正明 殿


   「日米防衛協力のための指針」の扱いに関する質問主意書

 「日米防衛協力のための指針」は、一九七八年一一月二八日の閣議で「了承した」(日経、同年一一月二八日付夕刊)、「報告、了承された」(朝日、同)などと従来から言われてきており、また政府も、「閣議におきまして防衛庁長官がただいま申しましたような発言をなさり、そして閣議はこれを了承いたしたわけでございます」(一九七九年五月八日、衆議院内閣委員会、原防衛局長)、「国防会議がまず了承し、そしてそれを受けて閣議が開かれて、その中身を説明の上、了解を得た」(同)、「閣議において、外務大臣及び防衛庁長官から報告され、了承された」(内閣衆質一〇四第一三号)などと説明してきている。
 一般に、内閣の意思決定は「閣議決定」または「閣議了解」の形で行われ、このほか、内閣の意思決定を必要とはしないが、閣議の構成員に事柄の内容、経過を知らせておく必要のある事項については、「閣議報告」が行われることもあるが、これらについては通常、「閣議書」を作成し、国務大臣が押印するのが例とされている。
 ところが、聞くところによると、「日米防衛協力のための指針」に関しては、閣議の席上、外務大臣及び防衛庁長官が口頭で発言しただけであつて、閣議案件としての「閣議決定」、「閣議了解」、「閣議報告」のいずれの扱いにもなつておらず、閣議書も作成されていないとのことである。そこで私は先般、「昭和六一年版防衛白書に関する質問主意書」の中でこの点について質問したのであるが、政府の答弁は、「『指針』については、昭和五十三年十一月二十八日の閣議において、外務大臣及び防衛庁長官から報告され、了承されたものであることは、従来から明らかにしているとおりである」と、従来の見解を繰り返すのみであつた。そこで、「日米防衛協力のための指針」が閣議でどのように扱われたのかを明らかにするために、この点について再度、次のとおり質問する。
 一九七八年一一月二八日の閣議では、「日米防衛協力のための指針」に関して、「閣議書」は作成されたのか。作成されたのか否かを明確に答えていただきたい。

  右質問する。