質問主意書

第107回国会(臨時会)

質問主意書


質問第九号

昭和六一年版防衛白書に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和六十一年十一月十日

志苫 裕   


       参議院議長 藤田 正明 殿


   昭和六一年版防衛白書に関する質問主意書

 昭和六一年版防衛白書について次のとおり質問する。

一 今年八月八日の閣議での白書の扱いは「配付」であつて、「閣議決定」「閣議了解」「閣議報告」のいずれでもなかつたと承知しているが、そのとおりか。また他省庁の発行している白書・青書の扱いは、「閣議決定」「閣議了解」「閣議報告」「配付」のどれか。各々について明らかにしていただきたい。

二 「潜在的脅威」(三ページ、二七ページなど)とは何か。

三 「平和攻勢」(九ページ)とは何か。

四 「わが国周辺におけるソ連艦艇・軍用機の行動概要」(三八ページ)として挙げられている数字について、

1 それぞれの数字は、各軍用機、艦艇の往路のみの数字か、それともそれぞれの復路をも一回と数えた数字か。
2 艦艇は軍用艦艇のみの数字か、それとも商船も含んでいるのか。

五 昨年までの白書で「ソ連艦艇の寄港地」として挙げられていたダナンが、今年の白書(五六ページ、第一-一四図)では削除されているが、何故か。

六 「安全保障会議」の英訳名は何か。

七 白書は、「わが国が憲法上の制約の下において保持を許される自衛力は、自衛のための必要最小限度のものでなければならない」(八四ページ)として、「例えば、ICBM、長距離戦略爆撃機などはこれを保持することは許されない」(同)としているが、昭和五一年版白書が「憲法上認められる自衛の範囲を越えるもの」(三五ページ)として挙げていた(1)IRBM、(2)攻撃型航空母艦、(3)長距離爆撃機、については現在、どう考えているか。

八 「海外派兵は、一般に自衛のための必要最小限度を越えるものであつて、憲法上許されないと考えている」(八四ページ)としているが、それでは「一般」ではなく「特殊」な場合には許されることもあると考えているのか。

九 昨年までの白書で、「第3部 わが国防衛の現状と課題」の「第3章 日米防衛協力」において扱われていた「日米防衛協力のための指針」を、今年の白書が「第2部 わが国の防衛政策」の「第3章 日米安全保障体制」で扱うこととなつた理由は何か。

十 「自米防衛協力のための指針」については、昭和五三年一一月二八日の閣議の席上、外務大臣及び防衛庁長官が「発言」しただけであつて、閣議案件としての「閣議決定」「閣議了解」「閣議報告」のいずれの扱いにもなつていないと承知しているが、そのとおりか。

十一 昨年の白書で、「洋上防空については……航空自衛隊が可能な範囲で周辺空域における防空作戦を行う」(一〇二ページ)となつていたものが、今年の白書では、「洋上での防空については……航空自衛隊がその能力の及ぶ範囲で防空作戦を行う」(一一三ページ)と変わつている。
 この「周辺空域」と「能力の及ぶ範囲」との違いは何か。

十二 「主要各国」(一二八ページ、一二九ページ、一三〇ページ、一三二ページなど)とは具体的にはどこか。該当する国名をすべて挙げていただきたい。またそれは「諸外国」(一二一ぺージ、一二二ページ、一二五ページなど)とどう違うのか。

十三 「継戦能力を維持するためには、予備自衛官等の確保……が必要である」(一三八ページ)としているが、「予備自衛官等」とは予備自衛官以外に何を含んでいるのか。

十四 「(日本の予備自衛官)制度は、主要各国における予備役制度にほぼ見合うものであるが、その規模などにおいて著しい隔たりがある」(一三九ページ)としているが、「規模」以外にはどのような「著しい隔たり」があるのか。

十五 抗たん性を確保するため「重要施設の地下化……を進めている」(一三九ページ)としているが、昭和五五年以降において「地下化」に着手された施設は何か。該当するものをすべて挙げていただきたい。

十六 中央指揮所と「主要部隊及び関係省庁との間に電話、ファクシミリ等が設置」(一四四ページ)されているというが、電話、ファクシミリ以外には具体的には何が設置されているのか。
 また関係省庁とは具体的にはどこか。

十七 中央指揮所と「在日米軍司令部との間にも電話等が設置されている」(一四五ページ)というが、電話以外には具体的には何が設置されているのか。またその電話等はそれぞれ何回線設置されているのか。

十八 「中央指揮システムの運用の対象となる事態」(一四五ページ)のうち、「その他全庁的な対処を必要とする緊急事態」(同)に、安全保障会議の所掌事務である重大緊急事態は含まれるか。

十九 「本年度、一個救難隊の新設を予定している」(一四七ページ)というが、それはどこに設置する予定か。

二十 有事法制の「所管省庁が明確でない事項」について「防衛庁において内部的検討を行つている」(一四八ページ)というが、一四八ページに例示されているもの以外でこれまでその「検討」の対象となつた事項は何か。

二十一 将官の定数削減に関連して、「約四〇の将職を将補職に、約七〇の将補職を一佐職に階級変更」(一八三ページ)するとあるが、将補職に変更する将職及び一佐職に変更する将補職はそれぞれ具体的には何か。また昭和六一年度に階級変更を実施したポストはどれか。

二十二 「在日米軍の駐留支援」(二〇〇ページ)の具体的内容は何か。

二十三 昭和六一年度予算のうち、「在日米軍駐留経費」(一九九ページ)に該当する項目はどれか。また、それぞれの項目のうち、同経費の金額はいくらか。

二十四 昭和六一年度予算のうち、「在日米軍駐留支援経費」(二〇二ページ)に該当する項目はどれか。また、それぞれの項目のうち、同経費の金額はいくらか。

二十五 「昭和五九年末、一応の区切りがついた」(二〇三ページ)とされる日米共同作戦計画の研究文書の秘区分は何か。

二十六 「日米防衛協力のための指針」はシーレーン防衛研究を日米で行うことを予定していないが、一体いかなる根拠に基づいて、「シーレーン防衛に関する研究を「指針」に基づく共同作戦計画の研究の一環として」(二〇四ページ)行つているのか。

二十七 「インターオペラビリティ」とはわかりやすく言うとどういうことか。

二十八 「日米共同訓練を通じて平素から自衛隊と米軍との戦術面等における相互理解と意思疎通を促進」(二〇五ページ)すると、具体的にはどのようなインターオペラビリティーが向上するのか。

二十九 南西航空混成団及び北部航空方面隊が米空軍との間で実施している「週一回程度の小規模な戦闘機戦闘訓練」(二〇八ページ)について、

1 米軍側の部隊の所属基地はそれぞれどこか。
2 日本側の部隊の所属基地はそれぞれどこか。
3 第一回目の訓練が行われたのはそれぞれ何年何月何日か。
4 今日までにそれぞれ何回の訓練を実施したか。

三十 「昭和五七年八月以来継続的に行つている」(昭和六〇年版防衛白書二一二ページ)B五二との電子戦訓練は、今日までに何回行われたか。

三十一 嘉手納飛行場に置かれている「太平洋兵站センター」(二一五ページ)の任務を政府はどのように承知しているか。

三十二 「ホスト・ネーション・サポート」(二一八ページ)について、

1 「ホスト・ネーション・サポート」とは何か。
2 今年三月に米国防総省が公表した「共同防衛への同盟国の貢献度」には、「戦時HNSの可能性に関しても、一九七八年の日米防衛協力に関する指針に基づき研究が進められている」とあるが、指針のどの部分がその根拠となつているのか。具体的に示していただきたい。
3 同報告書は、「「日米防衛協力のための指針」では、将来HNS取り決めに至る可能性のある分野の研究を行うと規定されている」としたうえで、「公式かつ拘束力ある取り決めは、日本で緊急立法が可決されて初めて可能となる」としているが、「指針」に言う「関係取極」にこの「HNS取り決め」は含まれるか。

三十三 防衛庁から外国に留学している隊員について昭和六〇年一二月三一日現在のそれぞれの所属、派遣先(国名及び機関名)、派遣先機関ごとの人数を明らかにしていただきたい。

三十四 外国からの防衛庁の教育機関への留学生について、昭和六〇年一二月三一日現在のそれぞれの国名、国別の人数、受入機関名及び受入機関別の人数を明らかにしていただきたい。

三十五 昭和六〇年度中に行われた全ての米国派遣訓練について、参加部隊名、規模及び人数、月日及び期間、訓練場所及び訓練機関名、訓練内容を明らかにしていただきたい。

三十六 昭和六〇年度中に行われた全ての隊付訓練及び隊付見学(国内分も含む)について、それぞれの派遣(受入)期間、派遣先(受入)部隊等名及び場所、派遣(受入)人数、所属部隊等名及びその場所を明らかにしていただきたい。

三十七 今年の白書は、「諸外国においては……国の防衛と国民との関係について憲法や法律等で規定し、国の防衛のための国民の協力態勢が確立しているのが通例である。わが国にあつても……防衛に関する国民の理解と積極的な支持、協力が不可欠である」(二二七ページ)とした上で、六ページにわたつて外国の徴兵制について詳述しているが、政府はわが国にあつても、国民の兵役義務を憲法や法律で定めることが必要だと考えているのか。

三十八 昭和六〇年一月一日以降今日までに日米安保地位協定第二条第四項(b)を適用して合衆国軍隊に提供し、又は適用を解除して返還された全ての施設及び区域について、次の事項を明らかにしていただきたい。

1 施設・区域名及び所在地(自衛隊施設を提供した場合はその自衛隊施設名及び所在地)
2 提供した(返還された)年月日及び面積(土地及び建物のそれぞれについて。自衛隊施設を提供した場合はその自衛隊施設全体の面積も。単位はm2
3 それぞれの昭和六〇年度中の合衆国軍隊の使用実績(日数)
4 告示を掲載した官報の発行年月日及び号数

三十九 「在日米軍の施設・区域には、訓練等のための水域四二か所がある」(二四三ページ)というが、それらの名称、所在地・位置、面積及び提供年月日を明らかにしていただきたい。

四十 「日米安全保障体制についても、現在の体制が確立してから既に三五年が経過し……」(二六〇ページ)とあるが、この部分は昨年の白書では「日米安全保障体制についても、現在の体制が確立してから既に四半世紀が経過し……」(二六〇ページ)となつていたものである。「四半世紀」とは二五年を意味する言葉であると承知しているが、何故一年経過しただけで二五年が三五年に増えてしまつたのか。

四十一 「自衛官等の募集状況」(資料二七)の各「区分」の陸海空それぞれの採用者数のうち、高校新卒者の人数はそれぞれいくらか。

四十二 昭和六〇年版白書の資料三八に挙げられている各学校について、昭和六〇年度中の外国人受託教育実績の国別人数を明らかにしていただきたい。

  右質問する。