質問主意書

第106回国会(特別会)

答弁書


答弁書第一号

内閣参質一〇六第一号

  昭和六十一年八月八日

内閣総理大臣 中曽根 康弘   


       参議院議長 藤田 正明 殿

参議院議員黒柳明君提出防衛費GNP一%枠問題等当面する政治課題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員黒柳明君提出防衛費GNP一%枠問題等当面する政治課題に関する質問に対する答弁書

一の(一)及び(二)について

(1) 政府は、従来から、防衛力整備に当たつては、防衛計画の大綱に定める防衛力の水準の早期達成を図ることを基本方針としており、かかる観点から、この水準の達成を図ることを目標とする中期防衛力整備計画を策定し、国の他の諸施策との調和を図りつつ、その着実な実施に努めているところである。
(2) 中期防衛力整備計画の実施に必要な防衛関係費の総額の限度は、昭和六十年度価格でおおむね十八兆四千億円程度をめどとするものとされているが、将来の防衛関係費の対GNP比が具体的にどのようなものとなるかについては、今後のGNPの推移及び防衛関係費の動向に不確定な要素があり、見通しを述べることは困難である。
 いずれにせよ、防衛力整備の具体的実施に際しては、昭和五十一年の三木内閣の閣議決定を尊重し、守りたいと考えていることは従来から述べているとおりである。

一の(三)について

 政府が従来、我が国として「軍事大国」にならないと述べているのは、自衛のための必要最小限度を超え、他国に脅威を与えるような強大な軍事力を保持することはないとの意味である。

二について

 政府は、昨年九月税制調査会に対し、最近における社会経済情勢の推移と将来の展望を踏まえつつ、公平かつ公正な国民負担の実現、簡素で分かりやすい制度の確立及び活力ある経済社会の構築を目指して税制全体について幅広く審議をお願いしたところである。その際には、国民の選択の方向を十分汲みとり納税者の理解と協力を得られるような望ましい税制のあり方について審議を求めたところであり、税制調査会は、国民の意向を十分反映するような報告をとりまとめられるものと考える。
 政府としては、税制調査会の結論を待つて適切に対処したいと考える。

三について

 内閣総理大臣の公的な資格での靖国神社への参拝は制度化されたものではないので、今後、これを実施するかどうかは、その機会があるたびに、内閣総理大臣が判断することとなる。

四について

 本年七月二十三日の記者会見における当該発言は、自民党総裁に対する質問に、自民党総裁としてなされたものであつて、その内容については、政府として答弁する限りではない。