質問主意書

第104回国会(常会)

答弁書


第百四回国会答弁書第五三号

内閣参質一〇四第五三号

  昭和六十一年六月十三日

内閣総理大臣 中曽根 康弘   


       参議院議長 木村 睦男 殿

参議院議員安武洋子君提出「明石海峡架橋」計画に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員安武洋子君提出「明石海峡架橋」計画に関する質問に対する答弁書

一の(一)について

 明石海峡大橋の起工式については、同橋の建設が事業化されたことを受けて本州四国連絡橋公団(以下「公団」という。)が実施したものであり、今後とも、関係者の理解を得つつ、事業が適切に実施されるよう努めてまいりたい。

一の(二)について

 昭和五十一年一月三十日の衆議院予算委員会における不破委員の質問に対する政府答弁は、三全総の中では、当面、一ルートについての整備を図ることとし、他の二ルートについては地域開発橋として順次建設を進めるという趣旨であり、明石海峡大橋の昭和六十一年度事業化は、この政府答弁とは矛盾してはいない。
 本州四国連絡道路に接続する神戸西バイパス(仮称)及び西神道路(仮称)については、できるだけ早い時期に都市計画が決定されるよう必要な措置を執り、事業が適切に実施されるよう努めてまいりたい。

二の(一)について

 政府は、国際協調型経済構造への変革を図り、内需主導型の経済成長を図ることが我が国にとつて不可欠であると認識している。
 このため、政府としては、

(イ) 住宅対策及び都市再開発事業を推進すること
(ロ) 賃金については、経済成長の成果が賃金にも適切に配分されるよう労使のコンセンサスの形成を図ること
(ハ) 減税の問題については、昭和六十一年秋に税制調査会から税制改革の包括的指針が示されるのを待つて適切に対処すること
等としている。

二の(二)について

 明石海峡大橋の建設に係る地元中小企業への発注率、発注額及び地元からの雇用者数についての予測は、行つていない。
 また、御指摘の「経済効果」試算は、一般的に使用されている方法で行われたものであり、試算としては妥当なものと考えている。

二の(三)について

 明石海峡大橋の開通に伴う淡路島への島外資本の進出に関する予測は、行つていない。
 また、島外資本の進出については、個別性の強い問題であり、その予測は、難しいと考えている。

三の(一)について

 本州四国連絡道路の利用交通量については、交通流動の実績、将来の経済指標等を基に、架橋による時間短縮効果等を勘案して、公団において推計している。

三の(二)及び(三)について

 本州四国連絡道路については、道路整備特別措置法施行令(昭和三十一年政令第三百十九号)第二条の二の規定に基づき、その全路線(新設又は改築に関する工事に着手していない区間内の道路で建設大臣が指定するものを除く。)について料金プール制とすることにより、採算を確保するものとしている。

三の(四)について

 架橋の整備は、フェリーと異なり随時利用可能なこと、時間短縮効果があること等により、住民にとつても、一般に利便性を増すものと考えている。

四の(一)について

 明石海峡大橋建設事業の実施に当たつては、地域の景観特性を踏まえ、道路の構造、橋りよう等の構造物の形状・色彩及び修景植栽について十分な検討を加え、周辺の景観と調和したものとなるよう公団を指導してまいりたい。

四の(二)について

 本州四国連絡道路の供用後における沿道の二酸化窒素濃度については、必要な調査検討を行い、環境基準を満足するよう、また、低周波空気振動については、必要に応じ適切に対処するよう公団を指導してまいりたい。

四の(三)について

 明石海峡大橋建設事業の実施に当たつては、公害の防止及び自然環境の保全の観点から環境に及ぼす影響について調査、予測及び必要な対策の検討を行い、その結果については、事業計画説明等を通じて関係者の理解を得るよう公団を指導してまいりたい。

四の(四)について

 明石海峡大橋建設事業の実施に当たつては、公団において必要な漁業影響調査を行うこととしている。

四の(五)について

 明石海峡大橋建設事業の実施に当たつては、移転を必要とする者を含む関係住民に対し、事業の実施、環境問題等について十分な説明を行い、その理解が得られるよう公団を指導してまいりたい。

四の(六)について

 本州四国連絡道路については、事業実施に当たり、その円滑な実施を図るため、必要な範囲で関係地方公共団体の協力を得ることも必要であると考えている。