質問主意書

第104回国会(常会)

答弁書


答弁書第四九号

内閣参質一〇四第四九号

  昭和六十一年五月二十三日

内閣総理大臣 中曽根 康弘   


       参議院議長 木村 睦男 殿

参議院議員上田耕一郎君提出国民への治療内容と診療報酬に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員上田耕一郎君提出国民への治療内容と診療報酬に関する質問に対する答弁書

一の(1)から(3)までについて

 テオフィリン系薬剤は治療域が狭く、可能な限り低用量とすることが必要であつて、お尋ねのネオフィリンの内用剤については、一日三百から四百ミリグラムを三又は四回に分割して反復投与し、年齢及び症状により適宜増減するものとして承認されたものであり、承認されている用法、用量により、有効域内の血中濃度の維持及び治療に必要な薬剤の投与ができるものと考えている。

一の(4)について

 昭和六十一年四月の社会保険診療報酬の改定において新たに加えられたテオフィリンの血中濃度測定は、喘息重積状態等重症な喘息患者に対して血中有効濃度の急速な確保を必要とする場合を想定している。
 この測定方法は、長時間にわたり一定時間ごとに血中濃度を測定しながら最適投与量の維持及び管理を行うためのものであり、入院を前提に行われる必要がある。

二の(1)について

 御指摘の点は、「老人保健法の解説」(吉原健二編著)の総論における概括的な説明の箇所(七十八頁)であろうと思われるが、同書の各論中四百十八頁から四百二十二頁までにおいて特例許可外老人病院の要件について更に詳細かつ正確な説明が行われていること、及び年間の老人収容比率に代えて毎年一月から三月までの期間の老人収容比率の報告をもつて、翌年度一年間の特例許可外老人病院としての取扱いを行うこととしていることから、同書の表現が不適切なものとは考えていない。

二の(2)について

 特例許可外老人病院については、医療の適正化を図る観点から診療報酬算定において必要な措置をとつているところであり、これによつて老人の入院が困難となるようなことはないと考えている。

二の(3)について

 老人診療報酬は、老人の心身の特性を踏まえ、適切な老人医療の確保を目指して設定されたものであり、これによつて治療に悪影響が出ているとは考えていない。
 また、「特例許可外老人病院」はあくまで診療報酬算定上の概念であり、当該医療機関が診療報酬以外の面で影響を受けることは好ましくないため、その名称及び所在地の公表は差し控えたい。

三の(1)について

 先般の病院給食業務の一部委託についての健康政策局長通知の趣旨は、近時における食品加工技術及び調理技術の進歩、衛生水準の向上等にかんがみ、病院の管理者が業務遂行上必要な注意を果たしうるような体制と契約内容の下で、給食の質が確保される場合には、当該業務の一部を第三者に委託しても差し支えないこととしたものである。
 また、診療報酬については、昭和六十一年四月の改定においても、適正な給食の実施を図るため、給食料の引上げ、基準給食加算の引上げ等の改正を行つたところである。

三の(2)について

 老人医療における一部負担については、本格的な高齢化社会の到来を控え、健康に対する自覚と適正な受診を促すとともに、増大する老人医療費を世代間で公平に負担するという観点から改定を提案しているものであり、高齢者世帯の所得の実態、年金の給付水準等からみて必要な受診を抑制するものとは考えていない。
 また、医療保険の給付率については、将来にわたり公平かつ安定した制度として国民に必要かつ適切な医療を確保していくために、昭和六十年代後半のできるだけ早い時期に八割程度で統一することとしているものである。

三の(3)について

 米国と比べて病床数が多いという理由のみにより病床数の削減を図ることは考えていない。
 また、老人診療報酬は、老人の心身の特性を踏まえ、適切な老人医療の確保を目指したものであり、これによつて老人の入院が困難になつていることはないと考えている。