質問主意書

第104回国会(常会)

質問主意書


質問第三六号

憲法第七条に掲げる「衆議院を解散すること」の法的性質に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和六十一年四月十四日

飯田 忠雄   


       参議院議長 木村 睦男 殿


   憲法第七条に掲げる「衆議院を解散すること」の法的性質に関する質問主意書

 憲法第七条の明文は、「天皇は」、「左の国事に関する行為を行う」と規定し、国政に関する行為には全く触れていない。従つて、同条各号に掲げる行為は、たとえそれが国政に関する行為に関するものであつても、それに伴う国事行為のみを指すものと解するのが憲法第四条との関連で正しいと思われる。
 しかるに、昭和六十一年四月八日付貴答弁書(内閣参質一〇四第二八号)は、憲法第七条の「国事に関する行為には、例えば衆議院の解散のように国政に関するものが含まれているが、このような行為も天皇が内閣の助言と承認によつて行うことは明文の示すところであり、」と説示する。この説示によれば、「国政に関するもの」も憲法第七条の各号に掲げられているものについては、「天皇が行う」とし、「このような行為について」は、内閣の助言と承認を必要とするので、「内閣が実質的に決定する」ということになる。
 ところで、(1)国政に関することは、憲法第四条により天皇には権能がないから、これを「天皇が行う」のは憲法に違反して許されない、(2)内閣が天皇に助言・承認するのは、国事行為に限るものであり、国政行為について天皇に助言・承認することは憲法第四条および第三条に違反すると思われる。したがつて、(3)天皇への助言・承認権を根拠に、国政に関する行為について「内閣が実質的に決定する」とすることは、憲法第七条の意味するところではないと解される。
 よつて、憲法第七条三号に掲げる「衆議院を解散すること」とは、衆議院解散にあたり行うを要する一連の手続の一環として制度化された天皇が行う衆議院解散についての国事行為を指すものと解するのが正当な解釈と思われるが、どのように考えているか。

  右質問する。