質問主意書

第104回国会(常会)

質問主意書


質問第三三号

国事行為に対する助言・承認と国政行為に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和六十一年四月十日

飯田 忠雄   


       参議院議長 木村 睦男 殿


   国事行為に対する助言・承認と国政行為に関する質問主意書

 昭和六十一年四月八日付答弁書(内閣参質一〇四第二八号)に述べるところは、要するに、国政に関する行為も憲法第七条に規定しているものについては天皇が行うものであるが、国政行為について、「天皇は、実質的に決定する権限を有しないのであるから」、国政に関するものを含む国事行為についての「内閣の助言と承認は、内閣が実質的に決定することを意味する」というにある。
 ところで、憲法第七条は、天皇が行う国事行為の要件と範囲を示した手続規定であり、天皇に国政行為を行いうる根拠を与えたものではないことは、憲法第四条との関連で明らかなところであるといわねばならない。
 それにもかかわらず、「このような行為(国政に関するものを含む国事行為)についての内閣の助言と承認は、内閣が実質的に決定することを意味すると解され」としているのは、元来、国事行為についての助言・承認権を国政行為にまで拡張するものであると思われる。
 憲法が規定する内閣の天皇に対する助言・承認は、国事行為について認められたものであり、憲法第四条との関係で、国政行為についての助言・承認はあり得ないと思われる。
 従つて、貴答弁書が「このような行為についての内閣の助言と承認は、内閣が実質的に決定することを意味する」とされているのは、理解し難いところである。よつて、法理論的に明確な御答弁を願いたい。

  右質問する。