質問主意書

第104回国会(常会)

質問主意書


質問第九号

在比米軍の沖縄への移駐計画に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和六十一年二月三日

喜屋武 眞榮   


       参議院議長 木村 睦男 殿


   在比米軍の沖縄への移駐計画に関する質問主意書

 今年一月二十五日付の米紙ニューヨーク・タイムズが、米政府当局者の言明として報ずるところによれば、「米太平洋軍司令部(ハワイ)は、海・空軍両部隊をフィリピンからグアム、沖縄およびその他の太平洋地域の各米軍基地に移動させるための詳細な計画を昨年中に作成した。」ということである。
 これは、フィリピンの政情不安と米比相互防衛条約に基づく米比基地協定が五年後の一九九一年に期限切れを迎える点を背景としていると思われる。
 また、昨年十二月五日の米下院軍事委員会軍事施設小委員会の公聴会で、ケリー米国防副次官補(東アジア・太平洋地域国際安全保障問題担当)は、「クラーク、スビックの両米軍基地の代替地として、米信託統治領の北マリアナ諸島(とくにテニアン島)のほか、現存するグアム、韓国、日本の米軍基地への移転を検討している。」と言明しているし、昨年十月十八日付の米軍機関紙「星条旗」によると、米海軍のワトキンス作戦部長は在比米軍基地の移設を示唆している。つまり、同作戦部長は、現在、フィリピンに配備している空軍及び海軍の作戦行動を肩代わりさせるために、他の太平洋地域の米軍施設を拡充することになろうと発言しているのである。
 そして、また、米国政府は、今年一月十日、在比米軍基地の撤退に備え、パラオ諸島(ベラウ共和国)と基地貸与契約を結んでいる。
 これらの情報を踏まえて、以下、政府の見解を問いたい。

一 政府は、以上のように報道されていることの事実関係を確認しているか。

二 米国側から在比米軍の日本、特に沖縄への移駐について、何らかの打診があつたか。

三 去る一月十六日から三日間、ハワイで開催された「第十六回日米安全保障事務レベル協議」の場では、この問題は取り上げられたか。

四 仮に、米国側から、沖縄を含む日本国内への在比米軍の移駐が提案される場合には、当然、日米安保条約に基づく「事前協議」の対象となると思われる。なぜならば、それは、(1)合衆国軍隊の日本国への配置における重要な変更の場合、(2)同軍隊の装備における重要な変更の場合、(3)日本国から行われる戦闘作戦行動の基地としての日本国内の施設および区域の使用の場合、のいずれかの項目に該当することは必至であると思われるからである。
 この点に関し、政府の見解を伺いたい。

五 もしも、在比米軍が沖縄に移駐する事態になれば、それは、沖縄県民の一致した世論であり、かつ政府の公約した政策である「沖縄の米軍基地の整理・縮小」という基本方針に反することとなる。したがつて、政府は、米国側からそのような事前協議ないし提案がなされた場合には、当然に、これを拒否すべきものであると考えるが、どうか。

  右質問する。