第103回国会(臨時会)
答弁書第一三号
内閣参質一〇三第一三号 昭和六十年十二月十七日 内閣総理大臣 中曽根 康弘
参議院議員秦豊君提出米ソ首脳会談と今後のわが国の外交・防衛政策の展開に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員秦豊君提出米ソ首脳会談と今後のわが国の外交・防衛政策の展開に関する質問に対する答弁書 一について 政府としては、世界の平和が核を含む力の均衡により維持されているという現実を踏まえ、この均衡の水準を確実な保障の下に可能な限り引き下げるべく、東西間の対話を通ずる軍備管理交渉の促進を働きかけていく所存である。
二から四までについて 将来の米国の対日政策の動向につき、あらかじめ仮定に基づいて種々述べることは差し控えたいが、いずれにせよ、中期防衛力整備計画は、「防衛計画の大綱」に定める平時から我が国が保有しておくべき必要最小限の防衛力の水準の達成を図ることを目標として策定したものであり、これを着実に実施してまいりたいと考えている。 五について ソ連との間で領土問題を解決して平和条約を締結し、真の相互理解に基づく長期的に安定した関係を確立することが、従来から一貫した政府の対ソ外交の基本方針である。
六及び七について 松本・グロムイコ書簡は、日ソ双方が正常な外交関係再開後「領土問題を含む平和条約締結に関する交渉を継続する」ことに合意したものである。同書簡は日ソ共同宣言と一体をなす重要な外交文書であり、政府は、これら関連文書により平和条約の締結交渉の中に領土問題が含まれるごとが明確にされているとの立場を一貫してとつている。
八について 政府としては、ソ連側が現在のかたくなな姿勢を改め、領土問題の解決に向かつて努力することなくして、日ソ間に真の相互理解を確立するための土台は築き得ないことを粘り強く主張してまいりたい。 九から十一までについて 朝鮮問題については、シュルツ国務長官とシェヴァルナッゼ外務大臣との間で南北対話の重要性が話題となつたと聞いている。 十二について 朝鮮半島の問題は第一義的に南北両当事者の直接対話により平和的に解決されなければならないというのが我が国の基本的立場であり、かかる観点から、仮に将来南北首脳会談が実現することになるとすれば好ましいことと考える。 十三について SDI研究参加問題については、現在、我が国としての対応振りを慎重に検討中である。 十四について 米ソ首脳会談においては、核兵器の削減につきレーガン大統領より説明があり、その中で中距離核戦力の問題についても言及されたと承知している。
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