質問主意書

第103回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一五号

ねじ工業等小規模下請企業の振興施策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和六十年十一月二十八日

峯山 昭範   


       参議院議長 木村 睦男 殿


   ねじ工業等小規模下請企業の振興施策に関する質問主意書

 ねじは、我が国機械工業の発展に不可欠な基礎部品であり、かつ、一国の産業技術水準の尺度ともなりうべき業種である。
 最近のねじ業界の業況をみると、諸機械工業全体の成長停滞、建設産業の低迷、機械製品一点当たりのねじ使用点数の減少傾向等から、内需は伸び悩み状況にある。しかも、最近の急激な円高傾向により、米国景気の活況を反映して一時的に好調を示していたねじ業界の収益は、再び悪化の方向をたどつている。
 ねじ業界はそのほとんどが中小企業であり、くわえて下請的な色彩が強いが、ねじ業界以外の他の中小企業業種にあつても、最近の円高傾向における業績不振のおそれ、技術高度化体質への構造改善等の問題を抱えているので、以下質問する。

一 通商産業省は、円高に伴う中小企業向け緊急対策として、昭和六十一年度に国際経済調整対策等特別貸付制度の創設を計画しているが、本年末には中小企業の経営環境が厳しさを増すと予想されるだけに、本制度を年内にも実施にうつすべきであると考えるがどうか。

二 かつて政府は、昭和五十三年に「円相場高騰関連中小企業対策臨時措置法」を施行して、円高に悩む中小企業対策を講じたが、今回も同様の措置を講ずる予定はあるか。

三 円高によつて、下請企業も親企業から、下請代金の減額、買いたたき、返品等を強要され、親企業の円高による手取り額減額を転嫁され苦しんでいる。
 通商産業大臣は、本年十一月十九日に公正取引委員会委員長と連名で、下請取引の適正化についての要請を行つているが、政府は、親企業の下請いじめが発生しないようあらゆる措置を講ずべきである。今後とるべき措置を具体的に明示されたい。

四 近年、ねじの国際市場に発展途上国メーカーの新規参入があることや我が国ねじメーカーの素材購入価額が割高であることなどから、価格面で国際競争力を失いつつある事態に対処するため、新素材を利用したねじ製品の開発、新規加工技術によるねじ製造技術の開発など、技術水準を高度化する必要があるが、政府としては具体的にどのような施策を構想しているか。

五 業界体質改善のための構造改善について冒頭述べたように、ねじは極めて多岐の分野にわたつて結合要素として使用される基礎部品であり、このため、その形状寸法、材質も極めて多岐にわたつている。こうしたことから、一般に多種少量かつ受注生産による形態が多く、さらに比較的小規模な生産設備によつて製造できることもあつて、多数の小規模零細企業によつて製造されている。
 現在、こうした業界体質の改善を図るため、昭和六十一年度を目標として、中小企業近代化促進法に基づく総合型構造改善事業を進め、業務提携等による事業の集約化、人材養成、共同研究開発の推進、生産設備の近代化等において一定の効果をあげているが、今後、過当競争体質の改善、高付加価値製品の開発、事業集約化等による経営規模の拡大等を図り、下請的体質からの脱却を指向していくためには、構造改善事業の一層の強化とこれに続く経営戦略型構造改善事業の実施が不可欠である。
 政府はねじ業界の望ましい姿はどのようなものであるとの展望を抱いているのか。業界の体質改善は何時頃を目途に効果があると考えているか。行政面からの支援策にはどのようなものがあるのか。以上、まとめてお答え願いたい。

  右質問する。