質問主意書

第103回国会(臨時会)

質問主意書


質問第七号

那覇空港の安全性に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和六十年十一月八日

喜屋武 眞榮   


       参議院議長 木村 睦男 殿


   那覇空港の安全性に関する質問主意書

一 去る十月二十五日に、航空事故調査委員会は、本年五月二十八日、那覇空港で発生した乗員乗客二百二十二名を乗せた全日空旅客機と搭乗員三名の自衛隊機が接触した事故に関する「航空事故調査報告書」を発表した。
 同報告書は、「結論」で、「推定原因」として、「本事故の原因は、QM-22(質問者注、自衛隊機)の両操縦士が、すでに離陸許可等を得たものと相互に錯誤し、同機を滑走路に進入せしめたことによるものであり、これは離陸許可を受領していないことについての両操縦士の認識が十分でなかつたことによるものと推定される。」としている。更に、誘導路上で行われた「ファイナル・チェックは、……適切なものではなかつた。」と指摘し、自衛隊機側の二重のミスを認めている。
 そこで、この報告書の結論に対する政府の見解を承りたい。

二 第一〇二回国会における、私の「那覇空港の自衛隊との共用をめぐる諸問題に関する質問主意書」に対する答弁書(内閣参質一〇二第五六号)の中で、政府は、那覇空港が「自衛隊との共用によつて危険度の高い空港になつているとは考えていない。」と答弁しているが、それは、同空港が全く安全だということか。

三 自衛隊との共用によつて、那覇空港の危険性が高くなつていることは、数字が裏付けている。即ち、前記の答弁書で、「沖縄の復帰以後昭和六十年六月三十日までの間の那覇空港における自衛隊機の事故件数は四件であり、他の自衛隊共用空港における事故件数は、いずれも二件以下である。」としていることから明らかである。
 他の自衛隊共用空港の二倍の事故が発生している点について、政府は、どう考えているのか。

四 政府は、前記答弁書の中で、那覇空港の離着陸許容回数をもとに、民間専用化は、「離着陸処理能力に余裕があるか否かをも勘案すべきものと考える。」としている。
 しかし、資料によれば、昭和五十九年において、全国八カ所の自衛隊共用空港の中で、管制取扱い機数の最多は、名古屋空港の八九、一六八機、次いで、那覇空港の八四、九一四機であり、また、政府答弁等によれば、両空港とも、許容回数は約十三万回とされている。
 しかるに、沖縄の復帰以後昭和六十年六月三十日までの間の自衛隊機の事故件数は、名古屋の二件に対し、那覇は、二倍の四件である。このことは、那覇空港の民間専用化は、「離着陸処理能力に余裕があるか否かをも勘案すべきもの」とする政府方針が誤りであり、自衛隊機の事故は、那覇空港の「離着陸処理能力の余裕」とは無関係に、発生していることを示している。
 今回の航空事故調査委員会の報告書も、自衛隊機の危険性を如実に示すものではないのか。政府の見解を伺いたい。

五 飛行目的及び態様の異なる旅客機と自衛隊機が、一本の滑走路を共用するところに、那覇空港の危険の根本原因があり、民間専用化を求めるゆえんであると思うが、政府の見解はどうか。

六 沖縄県の地元二紙は、「航空事故調査報告書」の発表を受けて、去る十月二十七日付けの各社説で、「危険ます軍民共用空港」の「安全性確保」を図る観点から、「民間専用化を図る時期」であり、「民間専用化を急げ」と論じている。
 那覇市議会をはじめとする市町村議会の決議もあり、沖縄県議会も、過去七回の民間専用化の決議を全会一致で採択している。
 那覇空港の民間専用化は、沖縄県民の一致した世論である。
 政府は、いつまで、この民意を無視し続けるつもりなのか。見解を伺いたい。

  右質問する。