質問主意書

第102回国会(常会)

答弁書


答弁書第五四号

内閣参質一〇二第五四号

  昭和六十年七月九日

内閣総理大臣 中曽根 康弘   


       参議院議長 木村 睦男 殿

参議院議員吉川春子君提出わが国の「産官学協同」問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員吉川春子君提出わが国の「産官学協同」問題に関する質問に対する答弁書

一について

 大学等における基礎研究の推進については、現下の極めて厳しい国の財政事情の下で、従来から、国立大学の教官当積算校費等及び私立大学等の経常費補助金、研究装置等施設整備費補助金等の確保に努めるとともに、国立大学の教育研究特別経費及び科学研究費補助金についても増額を図つてきたところであり、今後とも、大学等における基礎研究の推進に努めてまいりたい。
 なお、大学が、本来の使命を踏まえつつ、その主体的な判断に基づき適切な形で民間等の資金を受け入れ、共同研究等を行うことは、大学の研究活動自体にも有意義であると考えている。

二について

(一)及び(四) 御指摘の一連の通知は、外部資金を受け入れ、民間等との協力を行うに当たつて、資金の経理を私的に行うことなく、それぞれの通知に係る制度の趣旨に沿つて適正に行うよう指導するとともに、これらの資金による研究の円滑な実施を図るためのものであり、外部資金は、それぞれの制度の趣旨に沿つて適切に運用されるべきものである。
 また、その受入れに当たつては、学内の審査組織による審査、教授会等への報告等適切な措置を講ずるようこれらの通知等により各大学等を指導しているところである。
(二) 優先的実施期間を七年以内としたのは、大学等でなされる発明は、基礎的なものが多く、その実用化には相当の期間を要するため、五年では短かすぎる場合があるという観点から配慮したものである。
(三) 大学等における研究は、その成果を公表することを前提にして行われるものである。このことを踏まえつつ、特許の出願等の関係から必要な場合に、公表の時期・方法について大学等と民間機関等との間で適切に定めることができることとしたのが通知の趣旨である。

三について

(一) 共同研究の通知における「民間等」は、主として公益法人、企業等民間における研究所等を念頭に置いたものである。
(二)及び(三) 御指摘のような共同研究及び委託研究を行つている例はない。
(四) 職務上、大学又は大学院に通学している自衛官及び個人の意思により、大学の夜間部に通学し、又は通信教育を受講している自衛官の過去五年間の状況は次のとおりである。

図 表

(五) 国費により大学又は大学院に入学する自衛官は、当該大学等において専門的知識・技能を修得し、自衛隊の任務遂行に資するため、職務として学業に専念するものであり、在学中も当該自衛官には、防衛庁職員給与法(昭和二十七年法律第二百六十六号)に基づき給与が支給されるほか、その学業に関し出張する場合は、国家公務員等の旅費に関する法律(昭和二十五年法律第百十四号)に基づき旅費が支給される。
 なお、大学等に在学中の自衛官であつても、自衛隊法により、自衛官として負うべき服務上の義務等については何ら変わるところはない。
(六) 防衛庁の貸費学生の制度は、大学又は大学院において医学、歯学、理学又は工学を専攻している学生であつて、修学後にその専攻した学術を応用して自衛隊に勤務しようとする者を対象に、選考により学資金を貸与することによつて、人材の確保を図るものであり、その貸与する学資金の月額は三万一千円である。
 貸費学生の人数は、昭和六十年六月三十日現在三十六名であるが、大学別人数については、防衛庁の所掌事務の遂行に支障を生ずるおそれがあるので公表は差し控えたい。
(七) 御指摘のような出向の例はない。
(八) 昭和五十五年度から昭和五十九年度までの間における出向状況は、経済企画庁経済研究所に昭和五十三年十月から昭和五十六年九月まで一名及び昭和五十六年十月から昭和五十八年九月まで一名である。

四について

 学術関係の施策においては、従来から、「科学研究者の地位に関する勧告」及び「科学者憲章について(声明)」の趣旨を尊重しているところである。