質問主意書

第102回国会(常会)

答弁書


答弁書第四三号

内閣参質一〇二第四三号

  昭和六十年六月十八日

内閣総理大臣 中曽根 康弘   


       参議院議長 木村 睦男 殿

参議院議員小笠原貞子君提出北海道米作をはじめ、当面する米作問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員小笠原貞子君提出北海道米作をはじめ、当面する米作問題に関する質問に対する答弁書

一について

 農産物の市場開放については、関係国との友好関係に留意しつつ、国内農産物の需給動向等を踏まえ、食料の安定供給の上で重要な役割を果たしている我が国農業の健全な発展と調和のとれた形で行われることが基本的に重要であると考える。
 国民の主食であり、かつ、我が国農業の基幹作物である米については、国会における米の需給安定に関する決議等の趣旨を体し、自給する方針を堅持していく考えである。

二について

 米の需給を均衡させるとともに、農産物の総合的な自給力の向上を図るため、水田利用再編第三期対策を実施しているところであり、同対策において、不測の事態に備えて適正な水準の在庫を保有しておくため、ゆとりある米管理の確保と三度の過剰の発生防止との両面に配慮しつつ、計画的な在庫積増しを行うこととしているところである。

三について

 北海道農業は、豊富な土地資源を背景に、水田作、畑作、酪農、肉用牛生産を主要な柱として、規模が大きく生産性の高い農業経営を展開してきているところであり、今後とも、国民食料の安定供給に大きな役割を果たすものと考えている。
 なお、水田利用再編対策については、全国の農業者の理解と協力の下に、地域の特性に応じた農業生産構造の確立を図る方向で推進してきているところであり、転作等目標面積の配分に当たつても、地域の特性、産米の品質、自給力向上の必要性の高い作物への転作の可能性等を総合的に勘案して行つているところである。

四の(1)について

 他用途利用米は、国内で生産可能なものは極力国内生産で賄うとの観点に立ち、生産者と実需者との自主的な取組を前提として需要に見合つた価格で供給するという趣旨で、水田利用再編第三期対策の一環として導入したものであり、今後とも、その定着を図つていく必要があると考えている。

四の(2)及び(3)について

 他用途利用米用の稲を作付けするか、他の転作作物を作付けするかは、生産者の選択にゆだねているところであるが、他用途利用米の生産は、水田の有効利用に資するとともに、稲作の生産性の向上に寄与するなど、今後の農政の展開に当たつて重要な意義を有するものと考えられ、また、一定量の加工原材料用米の需要に応ずる必要があるので、生産者にその趣旨を理解していただき、関係者が一体となつてその定着に努めることが重要であると考えている。

五の(1)及び(2)について

 米の政府買入価格については、食糧管理法(昭和十七年法律第四十号)の規定に基づき、生産費及び物価その他の経済事情を参酌し米の再生産を確保することを旨として、米価審議会の意見を聴き、適正に決定してきているところであり、今後とも、適正に決定していく考えである。

五の(3)について

 稲作経営の安定を図るためには、経営規模の拡大等による生産性の向上、農業生産資材費の安定等を図ることが重要である。
 最近における農業機械、肥料等の価格は、落ち着いた動きを示しているが、今後とも、適正な価格が設定されるよう関係業界を指導してまいりたい。

六の(1)及び(2)について

 北海道の稲作農家の経営は、昭和五十五年、五十六年及び五十八年の冷害により少なからぬ影響を受けたものの、負債の内容、預貯金の実態等からみて他作目経営農家の経営と比較して殊更悪化しているとは言い難く、また、昨年の豊作によりかなり改善された面もみられるので、北海道の稲作農家について特別の負債対策を講ずることは考えていない。
 なお、政府関係資金については、原則として返済計画に基づいて返済されるべきものであるが、災害その他の特別な事由により元利金の支払が困難であると認められる場合には、経営の実情に応じ償還猶予等の措置をとることができることとなつている。

六の(3)について

 譲渡所得に対する課税は、資産の所有期間中に生じた値上がり益を対象とするものであり、その性格上、経営再建を目的とする資産の譲渡であることに着目して税制上特別の措置を講ずることは困難である。