第102回国会(常会)
答弁書第三九号
内閣参質一〇二第三九号 昭和六十年六月二十一日 内閣総理大臣 中曽根 康弘
参議院議員梶原敬義君提出大韓航空機〇〇七便撃墜事件の真相究明に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員梶原敬義君提出大韓航空機〇〇七便撃墜事件の真相究明に関する質問に対する答弁書 一について 政府は、国際民間航空機関(ICAO)による大韓航空機事件の調査に積極的に協力するとの立場から、昭和五十八年十月、本件調査のために来日したICAO調査団に対し、自衛隊のレーダー記録に基づく大韓航空機の航跡図、大韓航空機を要撃したソ連機の交信記録、大韓航空機と東京国際対空通信局との交信記録等ICAOが必要とする資料を提出した。 二について 大韓航空〇〇七便と東京国際対空通信局との間の交信及び大韓航空〇一五便と東京国際対空通信局との間の交信については、いずれも、航空機側の通話者が常に同一人物であつたか否か判別し得ていない。 三について (一) 昭和五十八年十月五日に運輸省が発表した大韓航空〇〇七便と東京国際対空通信局との間の交信テープの解析結果(以下「解析結果」という。)は、同年九月十六日に運輸省が発表した交信記録の中で聴取不能とされていた部分(以下「聴取不能部分」という。)に係る交信テープについてその後専門家の援助を受けて解析した結果得られたものである。一方、本事件に関するICAO事務局長報告書中の当該部分は、日本側からICAO調査団に提供された大韓航空〇〇七便と東京国際対空通信局との間の交信テープをICAOが独自に解析の上、日本側から提供された解析結果及びICAOが委嘱した専門家の意見をも参考にして作成されたものと承知している。
四から七までについて (一) 本事件は、我が国の防空識別圏外のソ連領サハリン上空周辺において発生したものであり、防衛庁において自衛隊のレーダーが捕捉した航跡を大韓航空機のものではないかと考えたのは、事件発生当日の午前四時五十六分に航空管制当局から同機の異常についての連絡を受けた後の調査結果によるものである。したがつて、同機が飛行していた時点で警告を発することは不可能であつた。
(五) 行方不明になつた外国籍の民間航空機の救難を目的とする災害派遣のため海上自衛隊が艦艇を運用した前例はない。 |