質問主意書

第102回国会(常会)

答弁書


答弁書第二号

内閣参質一〇二第二号

  昭和五十九年十二月十八日

内閣総理大臣 中曽根 康弘   


       参議院議長 木村 睦男 殿

参議院議員喜屋武眞榮君提出疎開船「対馬丸」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員喜屋武眞榮君提出疎開船「対馬丸」に関する質問に対する答弁書

一について

 海洋科学技術センターの潜水調査船「しんかい二〇〇〇」は、試運転中に約二千メートル潜航した実績があるが、現在までに実施した深海調査研究における最深調査地点は、千七百六十五メートルである。

二及び三について

 「しんかい二〇〇〇」は、観測調査及び簡単な試料収集の能力を有しているが、沈没船体の引上げ能力及びその船内の調査能力は有していない。
 また、現在の技術では、潜水士による潜水作業の可能な水深は、高度の技術を駆使しても百メートルから百五十メートル程度が限界である。
 したがつて、水深八百メートル以上の海底に沈没している対馬丸の船体の引上げ及び遺骨の収集は不可能である。

四について

 対馬丸の沈没地点が必ずしも明確でないため、広範囲の海域での捜索を要すること、また、海底には岩礁等の存在も予想されることから、こうした深海において対馬丸を発見し、船体の現況を調査することは、極めて困難である。

五について

 対馬丸を発見できる見通しが立たない現時点において、その沈没地点と船体の現況調査に要する費用を積算することは、極めて困難である。

六について

 対馬丸の遺骨収集が不可能である以上、船体捜索だけを行う考えはない。