質問主意書

第102回国会(常会)

質問主意書


質問第五六号

那覇空港の自衛隊との共用をめぐる諸問題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和六十年六月二十五日

喜屋武 眞榮   


       参議院議長 木村 睦男 殿


   那覇空港の自衛隊との共用をめぐる諸問題に関する質問主意書

 自衛隊との共用空港である那覇空港の民間空港専用化は沖縄県議会が、今年七回目の意見書を採択したことにも見られるように、沖縄県民、挙げての宿願である。
 その理由は、第一に、自衛隊が同空港で度々事故を引き起こしていることで明らかなように、共用は危険極まりないということ。
 第二に、沖縄県の産業、経済の振興上、共用はその阻害要因となつていること、等による。
 ところで、これまでの私の質問主意書に対する答弁書や、国会の衆、参の各委員会等における政府答弁の中で、よく言われることの一つに、「同空港の現在の離着陸回数からして離着陸処理能力に十分に余裕がある」と言うことがある。
 本年六月三日の参議院決算委員会においても、山下運輸大臣は、私の質疑に対して「那覇空港の年間離着陸回数は十三万回可能であるが、現状は八万回であるから、キャパシティーとしては十分余裕がある」と答弁している。これは、もともと異質のものを同列に論ずる誤りを犯していると言うべきである。このことを論証する面白い一つの材料がある。
 本年六月二十三日付の朝日新聞によると、「六月二十二日にソ連がプラウダの論文で、日本とシーレーンの安全保障問題について話し合う用意があることを明らかにした」と報じ、「ソ連が、このようなことを言い出した背景には、日本のシーレーン防衛構想へのけん制があるのはもちろんだが、同時に極東ソ連海軍のベトナムやインド洋への航路の安全を図る狙いも込められているものと外務省はみている。同じくシーレーンの安全保障といつても、日本は商船、ソ連が軍艦を対象とするのでは、『もともと考え方の基礎が違う』と言うわけだ」と解説する。
 シーレーンの安全保障について商船と軍艦を同列にできないと同様に、那覇空港の安全にとつて、民間機と自衛隊機は同列に論ずべきではない。いみじくも同じ委員会において、私の質疑に対し加藤防衛庁長官は、「防衛庁の航空機の事故というものは常に起こる可能性がある」ことを認めているではないか。最近事故率は、下がつてきてはいるが、「絶対にゼロ」にはならないのである。その証拠に「初歩的な間違い」によつて事故を起こしているではないか。
 よつて、次の質問をしたい。

一 那覇空港が離着陸回数に余裕があることをもつて、民間専用化はできないと言う弁明は今後、政府としては言うべきではないと思うがどうか。

二 現在、全離着陸回数に占める自衛隊機の割合は約三分の一である。この発着回数の計算は自衛隊機の場合、二機編隊で発着する時も一回と数えると言われているが、事実か。

三 第一〇一回国会における、私の「那覇空港をはじめとする自衛隊との共用空港に関する質問主意書」に対する答弁書(内閣参質一〇一第三八号)の中で、明らかになつているとおり、全国八つの自衛隊共用空港の中で、例えば、名古屋空港、福岡空港等と比べて、那覇空港における自衛隊機の離着陸回数は二倍以上と圧倒的に多い。それは、いかなる理由に基づくのか。

四 沖縄の復帰後、今日までの間に、八つの自衛隊共用空港の中で、自衛隊機の事故回数が一番多いのが那覇空港であるという事実に間違いはないか。

五 現在の那覇空港は、自衛隊との共用によつて極めて危険度の高い空港となつていると思うが、政府の認識はどうか。

六 即時には無理としても、中長期的には、那覇空港の民間専用化は検討の対象としているか。

  右質問する。