質問主意書

第102回国会(常会)

質問主意書


質問第四九号

FSX(次期対地支援戦闘機)のいわゆる国産化と日米関係に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和六十年六月二十四日

秦 豊   


       参議院議長 木村 睦男 殿


   FSX(次期対地支援戦闘機)のいわゆる国産化と日米関係に関する質問主意書

 FSX(次期対地支援戦闘機)についての防衛庁側の方針は、現在なお白紙、検討中の態度を表面的には明示しているが、国産化の方向が次第に強まつていることは、衆目の見るところである。
 六月二十二日、朝日新聞ワシントン発特派員電は、FSXの国産構想に対して米政府内部にいくつかの理由をあげた異論が抬頭していると報道しているが、それらに関連して質問する。

一 FSXについてのいわゆる白紙の状態を、いつまで続ける考えなのか。国産か、外国機導入かの結論は、今後の防衛計画上、いつ頃正式に打ち出せば良いのか、問題のタイムリミットについて伺つておきたい。

二 これまでの調査・検討を総合して国産可能と判断できるだけのデータは、既に得ているのか。それとも、なお調査を要する問題点を残しているのか。

三 FSX問題に対する外国機導入の考えは、現状では全く残されていないのか。あるいは、その余地を若干残しているのか。

四 政府は、FSXの国産と外国機導入を二者択一的課題と考えているのか。それとも、一定の比率と運用を考慮するならば、両者を共に選択することもあり得ると考えるか。

五 米国側は、(1)FSXの国産化は、研究・生産コストが共に高くつき過ぎる、(2)日本の武器輸出禁止政策を揺るがすことになりかねない、(3)米空軍戦闘機との間の互換性が損なわれ、作戦遂行上マイナスを生ずる、としているようだが、これらの指摘は、いずれも妥当なものと考えるか、個別項目ごとにお答えを頂きたい。

六 米国側には、「日本のFSXは一機当たり八十億円ではなく約百億円に達するだろう」との試算があるというが、これについてはどのような反論があるか。

七 米国側は、FSXは現在のF-1の後継だけでなく、F-15に代わるFXとしての運用をも考えていると受けとめているようだが、これに対してはどのような考えか。

八 政府は、FSXについて米国側がどのように要請しようとも、あくまでわが国独自の判断に属する課題として、その主体性を貫く方針なのか。

九 防衛と貿易はそれぞれ別個の領域に属しながら、昨今の米国議会等の傾向には、明らかに両者間のリンケージがうかがえる。FSX問題も、その対象から免れることはきわめて困難と思われるが、政府としてはどう考えるのか。

  右質問する。