質問主意書

第102回国会(常会)

質問主意書


質問第四六号

沖縄県下の不発弾処理に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和六十年六月二十一日

喜屋武 眞榮   


       参議院議長 木村 睦男 殿


   沖縄県下の不発弾処理に関する質問主意書

 この六月二十三日で、沖縄戦終結から満四十年になる。このように長い年月が経過したにもかかわらず、沖縄には、今だに戦争の後遺症が数多く残つている。未収骨の戦没者の遺骨、未処理の不発弾の問題等まさにその後遺症である。
 ここでは、未処理の不発弾の問題を取りあげたい。
 地元の新聞には今も頻頻と建築工事現場で発見された不発弾に関する記事が掲載される。
 先月には、伊江村の建て替え工事現場で米軍の迫撃砲弾三十八発、ピストル弾一万七千二百発、木箱入りの手りゆう弾、多数が発見され、建築主は、三十五年間も知らずに不発弾の上に寝ていたことを知つて、肝を冷やした例や、那覇市首里では米国製二百五十キロ爆弾の撤去作業に当たり、半径七百メートル以内の町民三千七百世帯、一万四千五百七人が、公民館、児童公園・霊園などに避難し、路線バスや一般車両が交通規制され、近くの公立中学、高校等三校が午前中休校となるというような騒ぎが、去る一月にもあつたのである。
 また、十年程前には下水道工事中に不発弾が爆発して、三十数人の死傷者を出すという事故も那覇市小禄で発生している。
 このように沖縄県では、未処理の不発弾によつて、今だに県民の生命、財産、生活が脅かされている状況である。
 そこで、以下の質問をする。

一 沖縄県では、第二次大戦中、米軍により、約二十万トンの爆弾等が投下され、そのうち五パーセントの一万トンが不発弾となつて残されたと言われているが、事実か。政府は、沖縄県下の不発弾数を如何なる根拠に基づいて何トンと把握しているか。

二 沖縄県下の不発弾は、現在までに何トンが処理されたか。そのうち、復帰後の処理数量は何トンか。

三 現在、未処理の不発弾数量は何トンか。

四 現在のペースで不発弾処理が行われると、あと五十年ないし六十年はかかると言われている。この推定は妥当であるか。

五 四におけるペースで不発弾処理が進められるとすると、沖縄県民はあと、半世紀以上にわたつて不発弾の上で起居する生活を余儀なくされ、その不安と恐怖は限りないものである。処理のペースをもつと速めるべきであると思うがどうか。

六 現在の不発弾探査機器の能力はどのくらいか。

七 地下深く埋没した不発弾を探査できる強力な探査機器を開発して、処理のペースを上げるべきであると考えるがどうか。そのためには、機器開発のための予算をもつと増やすべきであると思うがどうか。そのような機器開発の現状と見通し及び現在までに費やされた不発弾探査機器開発予算額と今後の増額見通しについて示されたい。

八 国が「過去の戦争」のために注いだ予算と情熱をその結果である戦後処理の問題、とりわけ沖縄県下の不発弾処理の問題にも注いでもらいたいと希望するものであるが、政府の見解はどうか。
 一日も早い「戦後処理」を済ませてこそ、戦後政治の総決算も平和を語る資格もあるのではないかと考えるものであるが、政府の誠意ある回答を求めたい。

  右質問する。