質問主意書

第102回国会(常会)

質問主意書


質問第三八号

大韓航空機撃墜事件についての政府の新たな答弁に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和六十年五月二十一日

秦 豊   


       参議院議長 木村 睦男 殿


   大韓航空機撃墜事件についての政府の新たな答弁に関する質問主意書

 去る五月十四日送付された大韓航空機撃墜事件のその後の真相解明に関する質問に対する政府答弁書(内閣参質一〇二第三五号)には、従来の政府の公式見解ないし答弁とは明らかに食い違う新たな内容が含まれており、きわめて重要な示唆を与えているが、それらに関連して更に質問する。

一 ICAO(国際民間航空機関)が、昭和五十八年十二月に公表した事務局長報告書(文書番号C-WP/7764)によれば、自衛隊の稚内レーダーの情報として、大韓航空機の高度(三万二千フィート)及びトランスポンダーのコード番号(1300)が日本政府から提供されたとの記載がある。私の四月二十日付質問主意書では、大韓航空機の事件当日、午前三時十二分から同二十九分に至る間の高度及び速度についての自衛隊レーダーのデータは、稚内、網走、根室のいずれのレーダーによるものか、また、各レーダー間のデータには何らの矛盾も認められなかつたのかを質問したのに対し、前記政府答弁書は、各レーダー別の記録は不明である旨答弁している。何故、ICAOに対する資料提供と異なる答弁を行つたのか。

二 政府は、自衛隊レーダーによる記録として大韓航空機の高度、速度等の情報を、ICAOに対しては、いつ、どのような内容で提供したのか。

三 網走及び根室の自衛隊のレーダーが、最初に大韓航空機を捕捉した際の同機の高度及び速度を示されたい。

四 網走及び根室の自衛隊のレーダーが捕捉した大韓航空機のトランスポンダーのコード番号を示されたい。

五 私が質問した程度の基本的な情報、例えば、事件当日午前三時十二分から同二十九分にいたる間の大韓航空機の高度、速度等に関するものは存在しないとする理由は何か。

六 大韓航空機が、三万二千フィートから二万九千フィートに下降を開始した概ねの時刻及び二万九千フィートから三万二千フィートに上昇を開始した概ねの時刻の記録が、何故存在しないのか。

七 午前三時十二分から同十五分の間で、最後に「高度約三万二千フィート」の記録が認められた時刻はいつか。

八 午前三時十五分から同二十三分の間で最後に「高度約二万九千フィート」の記録が認められた時刻はいつか。

九 自衛隊のレーダー記録上、大韓航空機が失速した事実が認められた時刻はいつか。また、その時刻における大韓航空機の速度はどうか。

十 政府が、本年二月末に「自午前三時十二分至同十五分」、「自午前三時十五分至同二十三分」、「自午前三時二十三分至同二十九分」の各時間帯における高度として、それぞれ「約三万二千フィート」、「約二万九千フィート」、「約三万二千フィート」とする数値を明らかにした理由は何か。

  右質問する。