質問主意書

第102回国会(常会)

質問主意書


質問第三五号

大韓航空機撃墜事件のその後の真相解明に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和六十年四月二十日

秦 豊   


       参議院議長 木村 睦男 殿


   大韓航空機撃墜事件のその後の真相解明に関する質問主意書

 昭和五十八年九月一日に発生した、大韓航空機撃墜事件については、当初から政府の積極的対応と情報の公開を求めてきたが、ここに、最近明らかになつた新たな疑問点について、ただしておきたい。

一 撃墜された大韓航空機の当日の飛行高度は、午前三時一二分から同三時一五分が約三万二千フィート、午前三時一五分から同三時二三分が約二万九千フィート、午前三時二三分から同三時二九分が約三万二千フィートと認識しているが、それに相違ないか。
 また、平均速度は、午前三時一二分から同三時一九分が約四百三十ノット、午前三時一九分から同三時二九分が約四百五十ノットと認識しているが、それに相違ないか。

二 右の高度および平均速度は、自衛隊のレーダーによつて探知されたものと考えるが、そのレーダーは、稚内、網走・根室のいずれのものか。また、この三レーダーの測定データ間には、何らの矛盾も認められなかつたか、次の諸点を明らかにしたうえで、お答えいただきたい。

(1) 右三レーダーの設置地点の海抜。
(2) 右三レーダーサイトの位置から、「大韓航空機」の昭和五十八年九月一日午前三時十二分の位置までの直線距離。
(3) 昭和四十三年七月一日、午前八時十二分に、根室レーダーが、シーボード航空のDC8型機を捕捉した時の、同機の正確な位置、根室レーダーまでの距離、高度、速度。

三 一に示した三万二千フィートと二万九千フィートには、三千フィートの高度差があるわけだが、航空機が突然三千フィートの下降、上昇をするとは考えられない。
 したがつて、下降、上昇が開始されたと認められるおおむねの時刻を明らかにされたい。
 また、午前三時一五分、同三時二三分における高度は、それぞれ三万二千フィート、二万九千フィートと理解してよいのか。

四 午前三時二九分における高度は、当初約三万フィートと公表されていたが、それを約三万二千フィートと訂正した理由は何か。

五 防衛庁が公表したソ連機の交信記録によると、ソ連機のパイロットは、「午前三時二十六分二十秒」に「発射した」、「三時二十六分二十一秒」には「目標は撃墜された」と地上基地に報告している。
 そうであれば、「三時二十四分」から「三時二十九分」に至る五分間の平均速度には、ミサイル被弾による影響が明確に認められるはずであるが、そのような事実はあるか、次の諸点を明らかにしたうえで、お答えいただきたい。

(1) 大韓航空機の午前三時二十四分における速度。
(2) 同機の午前三時二十四分から同三時二十六分に至る平均速度。
(3) 同機の午前三時二十七分から同三時二十九分に至る平均速度。
(4) 自衛隊の、レーダー上、同機が完全に失速状態(水平距離速度三百ノット以下)となつた時刻。

六 ソ連スクランブル機A(交信録では八〇五機)が大韓航空機の高度について、「目標は(高度)一万(メートル)で飛行している」と地上基地に報告した「午前三時二十一分四十秒」及び「午前三時二十三分十秒」には、スクランブル機Aの高度はどうであつたか。「二万四千フィート」だつたと理解してよいのか。

  右質問する。