質問主意書

第102回国会(常会)

質問主意書


質問第三四号

有事における海峡封鎖に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和六十年四月十九日

秦 豊   


       参議院議長 木村 睦男 殿


   有事における海峡封鎖に関する質問主意書

 有事において海峡封鎖の果たす役割は、きわめて大きい反面、被封鎖国の対応もまたわが国に多大の影響を与えずにはおくまい。
 よつて次の諸点について質問する。

一 一九八三年三月八日の衆議院予算委員会で、政府は、「米国によるわが国周辺の海峡封鎖に関する政府統一見解」を示したが、その中で、日本への武力攻撃がない時点での米国単独の封鎖行動に、状況によつては同意することもありうる旨を述べている。
 米国が、単独封鎖を実行する事態とは、どのような想定と考えているのか。

二 この統一見解を援用するならば、極東有事、または中東有事の場合、更にそれらのおそれある場合にも、米軍による封鎖行動を容認し得ることとなるのではないか。

三 日本有事の場合の三海峡封鎖については、すべて日本単独の作戦行動として実施するのか。

四 昨年末、署名された日米共同作戦計画には、海峡封鎖作戦及びそれについての日米双方の役割分担、また、協力支援の計画内容が盛り込まれているのではないか。

五 有事の際の海峡封鎖作戦には、日米間の協力などは、いつさいあり得ないのか。

六 迅速な機雷敷設のためには、わが国が有する能力のすべてを投入するのみならず、例えば、米軍のB-52D型戦略爆撃機や、対潜哨戒機P3C、またはC-130ハーキュリーズ等による支援行動を要請することはあり得るのではないか。

七 それとも、わが国は、単独で三海峡封鎖を実行する能力を既に有しているのか。

八 「大綱」水準の装備、戦力を具備すれば、それは可能なのか。

九 海上自衛隊が考えている機雷封鎖は、「そうや」など水上艦艇が主体なのか。それとも、航空機による方法に、より重点を置いているのか。

十 海峡封鎖の作戦としては、対象艦船のおよそ三〇パーセント程度の通峡阻止に成功すれば、有効というべきではないのか。

十一 戦略隘路すなわちチョークポイントの封鎖が実行された場合、対象国は当然相応の対抗措置をとるだろう。例えば、宗谷海峡を特定して考えれば、米国防当局者の発言や、ジェーン年鑑の記述等に見られるごとく、北海道北部の限定侵攻、限定占領等の挙に出ることは、きわめてあり得べき想定とは考えないか。

十二 しかも、日本有事でない事態で、米軍による封鎖を容認すれば、いたずらに対象国による対日戦闘行動を誘発する素因を形成するのではないのか。
 政府は、これらについてどのように考えるのか。

  右質問する。