質問主意書

第102回国会(常会)

質問主意書


質問第二七号

石油製品の輸入問題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和六十年三月一日

木本 平八郎   


       参議院議長 木村 睦男 殿


   石油製品の輸入問題に関する質問主意書

一 「昭和五十九年-六十三年度石油供給計画において昭和六十年度以降重油の輸入数量の拡大を計画しているところであるが、同計画においては、ガソリン輸入については、見込んでいない」(内閣参質一〇二第三号)ということであるが、石油供給計画にガソリン輸入が見込まれていなければ、ガソリン輸入が自由であるにもかかわらず、通産省は、一切のガソリン輸入を認めないという姿勢なのか。

二 通産省がガソリン輸入を認めるためには、昭和五十九年-六十三年度石油供給計画の変更が必要であるのか。

三 ナフサが、わが国に本格的に輸入されるようになつた時期はいつか。
 その際、当該年度の石油供給計画は、事前ないし事後に変更されたのか。

四 ガソリン輸入が法的に自由であり、その意味で経済活動の自由が保障されているが、それをあえて否定し、ガソリンを輸入させない根拠に使われる「石油供給計画」とは、どういう性格のものか。

五 (1) ガソリン輸入を認めると、民生用の灯油価格に影響するとの意見があり、これに対して、灯油についても低廉な価格での輸入が可能であるとの反論があるが、この点について、通産省はどのような認識をもつているか。
  (2) また、通産省には、ガソリン輸入に関して、各種石油製品の価格が変動するということを試算したものはあるか。
  (3) 仮に、ガソリン輸入が民生用灯油価格に影響があるとの意見を入れたとしても、灯油価格に影響の出ない春先から夏場にかけては、ガソリン輸入を認めていいのではないか。

六 恒常的な対日貿易不均衡に対する国際的批判が高まつており、わが国の非関税障壁に対する改善が求められている。
 そういう中で、経済界の中にも、「石油の輸入事業に関わる届け出制度を許可的に運用すべきでない。諸外国の誤解を避けるためにも、法治国家として、届け出制度はあくまで届け出制度として運用すべきである」との意見があるが、この点について、政府の見解はどうか。
 また、国内的にも、ガソリン輸入に対する表面措置(輸入自由)と実態(事実上の輸入禁止)が異なることは、国民に政治不信をもたらすことになると思うが、重ねて見解を伺いたい。

七 ガソリンを輸入貿易管理令による輸入割当品目に指定することにより、法的にもガソリンの輸入を阻止する方針が通産省・資源エネルギー庁にある(昭和六十年一月八日付「サンケイ新聞」)と報道されるが、自由貿易体制維持の観点から、また、対日貿易不均衡に対する国際的批判、とりわけ東南アジア諸国の不満を考えるとき、この問題に対し、関税と貿易に関する一般協定(ガット)との関係をふまえて、政府全体としては、どのように考えるか。

八 (1) 通産省は、行政指導により、事実上禁止しているガソリン輸入を年内にも解禁する方針を固め、石油審議会にガソリン輸入を認める場合の条件などについて諮問することになつた(昭和六十年一月二十三日付「日本経済新聞」)と報道されるが、このような方針変更があつたのか。
  (2) その際、ガソリンを輸入貿易管理令による輸入割当品目に指定し、通商産業大臣の輸入承認が必要とする考えか。
  (3) また、石油製品の輸入業者について、一定の資格要件を認めるなどの条件付解禁とも伝えられるが、資格要件として考えられる項目は、具体的にはどういうものか。
  (4) ガソリンの輸入に対し、もし輸入を認めるなら石油の元売り業者にのみ輸入割当てを認めよという声を聞くが、ガソリン輸入を認めるに際し、大手業界過保護の石油行政を改め、国内の販売業者又は販売業者の組合に輸入をゆだねる等、公平に対処すべきであると考えるがどうか。
 また、その際、ガソリン輸入の問題に対し、パイオニア的役割をした自主輸入のグループにこそ、まず輸入実績をつけるべきであると考えるがどうか。

  右質問する。