質問主意書

第102回国会(常会)

質問主意書


質問第二五号

地方自治体の監査委員制度に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和六十年二月十五日

木本 平八郎   


       参議院議長 木村 睦男 殿


   地方自治体の監査委員制度に関する質問主意書

一 昭和五十九年二月十四日、杉並区納税者監視協会のメンバーから、当時の田川自治大臣に対して、監査委員の公選制等についての陳情書が提出された。これに対して、自治省行政課長から説明があり、その内容は、自治省としても監査委員制度の改正の必要性を十分認めている、というものであつた。
 以後一年を経過しているが、自治省として具体的になんらかのアクションをおこしたのか。

二 地方自治法第一九六条によると、監査委員は、普通地方公共団体の長が、専門の知識又は経験を有する者及び議員のうちから選任すると定めている。これによれば、監査を受ける側が監査をする側を選ぶことになり、極めて不合理なシステムと思われるが、いかがなものか。
 また、このことが住民から行政サイド寄りの監査委員とみられる懸念はないのか。

三 監査委員についての諸問題の根源は、すべて首長の任免権にあると思われる。昭和五十五年十二月、第十八次地方制度調査会が、地方自治体の監査制度改善の答申を出し、自治省もこれを受けたが、一向に実効があがつていない。
 この際、監査委員の選出に準公選制を導入することを考えるべきではないだろうか。しかも、委員にはできるだけ議員や行政OBを避け、純民間人を多く登用する方向で検討することを切に望むが、政府の見解はいかがなものか。

四 現行では監査委員は、地方公務員特別職であるが、常勤の監査委員は名誉職の色彩が強く、月額四十万円を超える高給を取りながら積極的に活動しているようには思えない。
 昭和五十八年十月七日付サンケイ新聞によると、過去三年間で監査請求を受けて是正勧告がなされたのは、わずか九・五パーセントである。
 また、非常勤の監査委員については、ほとんど活動をしていないにもかかわらず、月額二十万円近くの手当が支払われている。
 まず、非常勤の監査委員だけでも、純民間人を登用しボランティアとすれば、地方行革にも一役買うことになり、監査委員制度そのものも活性化すると思われるが、政府の見解はいかがなものか。

五 欧米諸国の地方自治体では、内部監査機関以外に、外部監査機関が設けられているところも多い。
 我が国の場合もこれにならい、例えば、都道府県単位や関東・関西などの地方ブロック単位で外部監査機関を設け、自治省OBや弁護士、会計士などを委員とする二重監査制度構想は、検討に値すると思われるが、政府の見解はどうか。
 なお、この構想は住民に居住区の監査委員で不満が生じた場合、この機関を利用でき、また監査請求がなくても、常時監査活動をする、というシステムにすれば、従来の制度とちがつて行政側に密着した監査活動との批判もあたらなくなると思われるが、政府の考えを伺いたい。

  右質問する。