質問主意書

第102回国会(常会)

質問主意書


質問第二四号

タクシー運賃問題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和六十年二月七日

木本 平八郎   


       参議院議長 木村 睦男 殿


   タクシー運賃問題に関する質問主意書

一 本年一月三十一日、大阪地方裁判所が行つた京都市MKタクシーに係る運賃値下げ申請却下処分の取消しを命じる判決は、安全が確保されていれば、より安い運賃を求めたいとする利用者の希望に沿つた極めて適切な司法判断である。運輸省が、MKタクシーの運賃値下げ申請を却下する根拠とした、昭和三十年七月のタクシー運賃についての同一地域同一運賃制に関する自動車局長通達は、裁判所の指摘どおり道路運送法を逸脱したものである。
 運輸省は、直ちに同通達を全面的に見直すべきではないか。

二 今回の大阪地方裁判所の判決は、利用者の要請に適合した適切妥当な司法判断であり、運輸省の指摘するような混乱は発生しないと考えられるので、本件訴訟の控訴を取りやめ、早急に値下げ申請を受理すべきではないか。

三 私は、昭和五十九年二月三日の本院決算委員会において、国家権力を背景にした国が民間を相手に裁判をする場合の上訴問題に関して質疑した。
 これに対し、法務省の藤井訟務局長は、「国側敗訴の事件がありました場合に、これを控訴あるいは上告するかという検討は、きわめて慎重に行つており、今後も慎重に行つてまいりたい。」と答弁しているが、今回のMKタクシーに係る判決は、私の質疑に対する法務省訟務局長答弁の趣旨にまさに該当するケースと思料する。
 本件で、国側(運輸省)が控訴する場合には、第二審で必ず勝訴する見通しをもつた上で行うべきであると思うが、そのように理解していいかどうか伺いたい。

四 公正取引委員会は、この大阪地方裁判所の判決で示されたタクシー賃の同一地域同一運賃制の行政方針が独占禁止法第八条に違反するおそれがあることについて、早急に実態調査を行い、必要な勧告を行うべきではないのか。

五 タクシー運賃の弾力化等運輸事業の規制緩和は、時代のすう勢である。運輸省は、この際、多様化する利用者のニーズにあわせて、タクシー事業の活性化と競争原理の導入を早急に検討すべきではないか。

  右質問する。