質問主意書

第102回国会(常会)

質問主意書


質問第八号

中曽根首相の防衛費についての認識に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十九年十二月二十日

秦 豊   


       参議院議長 木村 睦男 殿


   中曽根首相の防衛費についての認識に関する質問主意書

 去る十二月十五日に行われた野党党首との一連の会談を通じて、中曽根首相は、「防衛費の対GNP比率」についての答え方を微妙に使い分けているが、この際、防衛費についての首相の基本的な認識をただしておきたい。

一 民社党の佐々木委員長に対して首相は、「六十年度予算編成では一%枠を守つていきたい。しかし夏には人事院勧告もあり、将来のことはわからない。何らかの変更を求めるようなことが必要なら、国民に理解を求めたい。」と述べたと伝えられているが、事実か。

二 前記「何らかの変更」とは、昭和五十一年十一月に行われた三木内閣の一%枠に関する閣議決定の変更、または撤廃を指しているのか。

三 前記「何らかの変更」発言は、従来の政府答弁、すなわち「三木内閣当時の防衛費に関する閣議決定の方針はこれを守つてゆく。」とした態度の変更を意味するのか。

四 去る十二月十八日には、「平和問題研究会」が一%枠の見直しを提起したのに続いて、間もなく自民党の防衛整備小委員会が同様の提言を行うことになつていると伝えられる。中曽根首相は、どのような提言が相次ごうとも、今後とも一%枠を守り抜くお考えか。

五 確かに、昭和六十年度の当初予算では一%枠は守り得ようが、来夏の人事院勧告によつて、仮に、今年度実施と同じ水準の三・三七%のべースアップが行われても、なおかつ一%枠を守れると考えるか。

六 中曽根首相が、「平和問題研究会」に対して、両論併記をしないよう注文をつけ一%枠見直しに一本化するよう強力に要請したのも、首相自身が六十年度中の一%枠突破を予見しているからではないのか。

七 それとも首相は、今後とも、防衛費の対GNP比一%枠の見直しなどは、必要でないと考えているのか。

八 政府は、防衛計画大綱の水準達成をめざすというが、それは一%枠を守り続けながら可能と考えるか。

九 政府方針の一つである「限定的かつ小規模侵略」への対応力は、防衛費の対GNP比一%枠の範囲内で達成可能と考えているのか。

  右質問する。