質問主意書

第102回国会(常会)

質問主意書


質問第六号

平和問題研究会の報告書に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十九年十二月二十日

秦 豊   


       参議院議長 木村 睦男 殿


   平和問題研究会の報告書に関する質問主意書

 中曽根首相の私的諮問機関である平和問題研究会は、去る十二月十八日、一年四ヵ月にわたる審議の結果をまとめ、報告書を提出したが、以下これに関連して、質問する。

一 中曽根首相は、本来、今回の平和問題研究会の報告に対しては、何を最も重要な点として期待していたのか。

二 報告書作成の最終段階では、十一名のメンバーの間に、かなり見解の隔たりが残つていたにもかかわらず、首相自らの意向によつて報告書の一本化を強力に要請したのではないか。

三 私的諮問機関の通弊とはいえ、いわゆる中曽根人脈のみを糾合して一国の安全保障政策の根幹に関わる重要事項の答申を求めるという政治手法自体に、大きな疑義を感ずるが、どうか。

四 中曽根首相は、十二月十八日午後、報告書の今後の扱い方を記者団から聞かれた際、「問題を仕分けして対処してゆきたい。六十年度予算編成で生かすこともあり、中長期的に生かす問題もある。」と答えているが、六十年度予算の編成に当たつて考慮し、反映すべき問題としては、どのような事を考えているのか。

五 報告書に対する中曽根首相の受け止め方として、中・長期的な問題とは何と考えているか。

六 今回の報告書は、大胆に防衛計画大綱の再検討を打ち出しているが、その基本的な認識と提言については、どのように受け止めているのか。

七 報告書は、また、基盤的防衛力構想をも否定しているが、それについて、首相はどのように考えているか。

八 防衛費の水準について、報告書は、「一%というめどは今日では適用しがたいものとなつた。」と述べているが、これに対して、首相の認識はどうか。

九 いわゆる防衛費の歯止め論に関連して報告書は、GNP比などのいわゆる「定量論」を退けて、「定性的なものであるべきである」と提言しているが、「定性的なもの」に歯止め的な効果を期待出来ると考えるのか。

十 政府は、今回の報告書のどの部分に最も共感したのか。

十一 報告書の「日本の防衛体制の効率化と強化」を論じた中に、「発展的置換」と「惰性を断ち切る必要」があるとして、陸・海・空三自衛隊の編成、装備、配置にまたがる抜本的な見直しを提唱しているが、この部分は当然の指摘ではないのか。
 政府は、私が本年五月七日提出した「わが国の自衛隊の現状と欠陥に関する質問主意書」で指摘した内容、つまり専守防衛の大原則に照らして、自衛隊の編成・配置・また装備や兵器体系をこの際徹底的に見直してみるべきではないかとする十二項目にわたる質問に対しても、きわめて不透明かつ安易な答弁(昭和五十九年五月二十五日、内閣参質一〇一第二七号)を行つているが、今回の報告書を踏まえて、これこそ中・長期的な課題として、自衛隊の厳密な検証、内部解析による徹底的な現防衛体制の総点検、見直しを指向すべき時期と考えるがどうか。

十二 この報告書は、今後、政府部内ではどのように扱われるのか。また、総合安全保障関係閣僚会議や閣議等の議題になり得るのか。

  右質問する。