質問主意書

第102回国会(常会)

質問主意書


質問第三号

ガソリンの自主輸入等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十九年十二月十一日

木本 平八郎   


       参議院議長 木村 睦男 殿


   ガソリンの自主輸入等に関する質問主意書

一 本年四月六日の参議院商工委員会において、ガソリン自主輸入に関する私の質疑に対して、政府委員(資源エネルギー庁長官)豊島格君は、「さわらび石油が、ガソリン自主輸入について通産省に相談し、その結果さわらび石油から、届出が出てこなかつた」旨の答弁をしている。
 その「相談」というのは、どんな内容で、どういう結論が出されたのか。またその際、元売業者が、自主輸入の阻止をはかるため通産省に働きかけた事実はなかつたか。
 また、通産省の側が、元売業者に働きかけて、石油の自主輸入阻止の動きをさせようとした事実はなかつたか。

二 本年十二月七日付の朝刊各紙によると、神奈川県相模原市の石油販売業者ライオンズ石油が、ガソリン自主輸入にふみきつたとあるが、今回も通産省への相談がもたれたのか。またその際、元売業者が、あるいは通産省が、ガソリン自主輸入の阻止に動いた事実はないか。

三 本年四月六日の参議院商工委員会において、石油業界の国際化に関する私の質疑に対して、豊島資源エネルギー庁長官は、「我々もその方向で進めたい。石審の小委員会の検討結果に基づいて進めてゆきたい。」旨の答弁をしている。
 本年六月二十七日付「日本経済新聞」によると「石審の六月四日の石油部会で、石油製品輸入を段階的に自由化する方針をうちだした」とある。
 にもかかわらず、今回ライオンズ石油がシンガポール産ガソリンの輸入を発表した際、本年十二月七日付「朝日新聞」によると、「通産省は、自粛を指導する構え」とある。
 これは、前記商工委員会での答弁と矛盾していないか。もし、まだ段階的に自由化する方針の途上というのなら、いつごろまでに自由化がなされるのか、大体の期日を示していただきたい。

四 前回のさわらび石油、今回のライオンズ石油の例をみるまでもなく、ガソリン輸入が自由になつているとは、到底思えない。にもかかわらず、本年四月六日の参議院商工委員会において、豊島資源エネルギー庁長官は、「ガソリン輸入は、原則自由だ」と答弁している。なぜ自由でないものを、原則自由などと表現するのか。「今はまだ自由ではないが、今後自由化をめざして努力する。」という答弁の方が、自然ではないか。だめならだめと、なぜその旨をはつきり答弁しないのか。

五 法的には、ガソリンは輸入を自由化されていながら、実質的には行政指導で輸入させないのは、ガットの協定に抵触するのではないか。

六 石油元売業界の再編成などの関係上、現段階でガソリンの輸入が流通の混乱をきたす等の問題があれば、むしろはつきりと「許可制」などの法的措置を講ずべきではないか。表面措置(輸入自由化)と実態(輸入阻止)が食いちがうことは、国民に政治不信をもたらせることになると考えるが、どうか。

七 通産省のガソリン輸入に対する消極的な姿勢は、石油業界の保護ばかりを考え、消費者の利益をなおざりにしているとしか思えない。
 消費者は、一円でも安いガソリンを求めている。この事実をふまえて、今後、ガソリン自主輸入の届出が出された場合は、スムーズに受理されることを望むが、政府、通産省の誠意ある見解を求める。

  右質問する。