質問主意書

第101回国会(特別会)

答弁書


答弁書第三二号

内閣参質一〇一第三二号

  昭和五十九年六月二十六日

内閣総理大臣 中曽根 康弘   


       参議院議長 木村 睦男 殿

参議院議員下田京子君提出大幅な繭減産等による養蚕農家の経営危機打開策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員下田京子君提出大幅な繭減産等による養蚕農家の経営危機打開策に関する質問に対する答弁書

一について

(1) 生糸消費量の減少は、主として、生活様式の変化等に伴い我が国絹需要の大宗を占める和装需要が減少したことにより、国内の絹織物の生産が落ち込んだことによるものであると考えている。
(2)及び(3) 絹織物については面積ベースでの輸入数量削減を図つてきているが、輸出国において付加価値が高い織物を中心とするなどの対応がみられ、品目構成の変化が認められる。
 このため品目や重量についても規制すべきとの要望があることは承知しているが、輸入数量の削減は、輸出国側との話合いにより納得を得ながら実現しているものであり、従来の規制方法に加えて新たな規制を加重するということについて相手国の同意を得ることは、非常に困難となつているのが現状である。
 なお、国内の生糸消費量の減少の理由は、(1)において述べたとおりである。
(4)及び(5) 蚕糸砂糖類価格安定事業団(以下「事業団」という。)の生糸在庫が累増したのは、予期せざる絹需要の大幅な減退により、供給調整の努力にもかかわらず需給の大幅な不均衡が生じたことによるものである。
 なお、輸出国側との協議に係る生糸の我が国への輸入数量については、輸出国側との話合いにより毎年度削減してきており、昭和五十七年度協議に係る輸入数量は、最近における最高の数量であつた昭和五十三年度のそれの三割以下の水準となつている。

二について

(1) 生糸・絹織物等については、輸入自由化品目であり、輸入の全面停止というような輸入規制は困難であるため、従来から主要輸出国側との話合いにより輸入数量の削減を図つてきたところである。
 これらの輸出国も既に相当の輸出数量を減少させており、これ以上の大幅削減について相手国の協力を得ることは困難となりつつあるが、今後とも輸入数量の削減について最大限の努力を払つてまいりたい。
(2) 今回の繭減産は、生産者団体と十分協議の上生産目標数量を設定し、都府県別に目標数量を示したものである。
 また、繭減産の具体的な実施方法については、地域農業の実情等を踏まえ繭減産が円滑に行われるよう、都府県にゆだねているところである。
(3) 今回の繭減産については、経営の維持安定等を図るため、経営維持安定資金の貸付け、農業改良資金の活用、生産者団体等による指導活動、研修等に対する助成等の措置を講ずることとしている。
(4) 今回の経営維持安定資金は、繭減産の円滑な実施を図るため、繭減産を実施した農業者に対して減収分についての低利融資を行うことをその趣旨とするものである。
 なお、既借入金の償還猶予等については、従来から、農業者の実情に応じ措置するよう関係機関の指導等を行つているところである。
(5) 生糸・絹製品の需要拡大については、従来から、絹需要促進のための各種普及啓もう活動の実施と併せて、新規用途開発のための、事業団による新規用途等売渡しの実施、新製品開発事業等に対する助成等を行つてきたところである。
 今後とも、その推進に努めてまいりたい。

三について

(1) 関係地方農政局等を通じて、各都道府県の農作物の生育状況を把握するとともに、気象予報等を踏まえて、必要な技術指導を行つているところである。
 なお、今後とも生育状況の把握に努め、適切に対処してまいりたい。
(2) 今冬の豪雪、異常低温等による農作物等の被害については、これまでに把握している被害の実情及び資金需要の動向からみる限り、現状では、天災融資法の発動は困難であると考えている。
 被災農業者に対する資金対策については、これまで、被害が明らかとなつた地域から逐次その被災農業者の実情に応じ、農林漁業金融公庫の各種の災害関係資金の円滑な融通及び既貸付制度資金の償還期限の延長等貸付条件の緩和の指導に努めてきたところであり、今後とも適切に対処してまいりたい。
(3) 蚕繭共済制度においては、従来から、的確な損害評価及び共済金の早期支払を行うよう農業共済団体等を指導しているところである。
 また、蚕繭共済における共済目的の種類については、共済細目書に記載された蚕期によつて区分しているところである。