質問主意書

第101回国会(特別会)

答弁書


答弁書第二八号

内閣参質一〇一第二八号

  昭和五十九年六月一日

内閣総理大臣 中曽根 康弘   


       参議院議長 木村 睦男 殿

参議院議員秦豊君提出中曽根総理の「防衛政策論」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員秦豊君提出中曽根総理の「防衛政策論」に関する質問に対する答弁書

一から十二までについて

 中曽根内閣総理大臣は、内閣総理大臣就任以前の昭和五十五年四月二十七日から五月九日まで、一国会議員として中華人民共和国を訪問した。しかしながら、帰国後に、御質問に引用されている月刊誌「選択」記載の発言をしたという事実はない。なお、現在政府がとつている防衛政策の基本は、次のとおりである。

(一) 我が国の防衛は、平和憲法の下、専守防衛に徹し、近隣諸国に脅威を与えるような軍事大国とはならず、非核三原則を国是とし、昭和三十二年に閣議決定された「国防の基本方針」に定められているとおり、国際協調等世界平和への努力の推進、民生安定等による安全保障基盤の確立、効率的な防衛力の漸進的な整備及び日米安全保障体制を基調とすることを基本方針としている。
(二) 昭和五十一年に閣議決定された「防衛計画の大綱」は、我が国の防衛にとつて必要な防衛の態勢等、陸上、海上及び航空自衛隊の体制並びにこれに基づく編成、主要装備等について定めているが、我が国の防衛力の現状は、これに定める防衛力の水準に達していない。
(三) このため、我が国としては、各種の防衛能力をバランスよく備え、かつ、諸外国の技術的水準の動向に対応し得る防衛力の整備に留意しつつ、「防衛計画の大綱」に定める防衛力の水準にできるだけ早期に到達したいと考えており、現在これを見直すことは考えていない。
(四) 我が国の防衛力整備については、今後とも、我が国の自主的判断の下、国民の理解と支持を得つつ、これを進めるべきものと考えている。その具体的実施に当たつては、その時々における経済財政事情等を勘案し、国の他の諸施策との調和を図りつつ、効率化、合理化を旨として、事業の必要性、優先度を十分考慮してまいりたい。