質問主意書

第101回国会(特別会)

質問主意書


質問第三八号

那覇空港をはじめとする自衛隊との共用空港に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十九年七月二十四日

喜屋武 眞榮   


       参議院議長 木村 睦男 殿


   那覇空港をはじめとする自衛隊との共用空港に関する質問主意書

 本年六月二十一日、那覇空港において航空自衛隊のT33A練習機が離陸に失敗して炎上し、搭乗員のうち一名が死亡し、一名が重傷を負うという事故が発生した。
 同空港は運輸省が設置、管理する民間空港でありながら、復帰直後の昭和四十七年十一月、運輸省航空局長と防衛庁防衛局長との協定により、陸海空三自衛隊が共用することとなつて、今日に至つている。
 その間、約十二年の間に自衛隊機の大事故(防衛庁の分類による。)が六回発生している。
 そして、事故が発生する度に、沖縄県議会は、与野党全会一致の意見書を採択し、那覇空港を民間専用空港とするよう要望し続けて来た。
 しかるに、政府は沖縄県民のこの切実な要望を無視し続けている。その言い分はこうである。いわく、「南西航路帯の防衛という重要な任務を持つ航空自衛隊、海上自衛隊の航空機は沖縄に配備されねばならず、その基地は那覇以外には求め得ない現状だ」と。
 しかし、政府は同時にその第二次沖縄振興開発計画において、「那覇空港を沖縄と本土間、本島と離島間の航空路線の中核的な民間空港として、また、わが国の南における国際交流の拠点となる空港として整備、拡充する」ことを謳つている。
 そこで、自衛隊との共用空港である那覇空港の現状について、他の空港とも比較しながら、その安全性を確保するという観点から、いくつかの質問をしたい。

一 運輸省が設置管理している民間空港で、自衛隊が利用しているもの(以下、「自衛隊共用空港」という。)が那覇を含めて全国に八空港あるが、それぞれの施設の総面積と滑走路の数及びその幅員と長さを示されたい。

二 各自衛隊共用空港における民間専用区分と自衛隊専用区分のそれぞれの面積及び共用部分(例えば、滑走路、誘導路等)を明示し、その面積を示されたい。

三 各自衛隊共用空港における共用の根拠は、何年何月何日の誰と誰の取り決めによるものか示されたい。

四 沖縄の復帰以後、各自衛隊共用空港における事故件数を自衛隊機と民間航空機それぞれについて明らかにされたい。

五 各自衛隊共用空港における全航空機の一日の離着陸回数と、その中に占める民間航空機と自衛隊機の離着陸回数を示されたい。

六 本年七月四日の参議院沖縄及び北方問題に関する特別委員会において、運輸省当局は、「現在の那覇空港につきましては、離着陸回数などからも、滑走路能力にかなり余裕がございます。」と答弁しているが、そのように断定する根拠は何か。また、何分間隔の離着陸を以て、「余裕」の限界とするのか、見解を明らかにされたい。

七 那覇空港は、米軍の嘉手納飛行場に十一マイル、同普天間飛行場に八マイルと近接しているが、同様の条件が、他の自衛隊共用空港についても存在するかどうか、明らかにされたい。

八 那覇空港から出発し、あるいは進入する民間航空機は、空港から十五マイルの地点まで、あるいはその地点から、一千フィート以下の低高度で、飛行することになつている。その理由は、嘉手納及び普天間の米軍機が二千フィートの高度で飛行することとなつているからである。このような離着陸における制約条件が、他の自衛隊共用空港についても存在するのかどうか、明らかにされたい。

九 沖縄の空域には、米軍のウォーニング・エリア、あるいは、アルト・ラブ空域が網の目のように張りめぐらされている。同様の条件が、他の自衛隊共用空港周辺にも存在するものなのかどうか、明らかにされたい。

十 沖縄空域では、他の空域よりもニアミスが多発していることを政府は、認識しているか。

十一 運輸省は、現在若しくは近い将来において、安全上の見地から、防衛庁に対して、那覇空港の共用を止めたい旨の意思表示をする考えは持つていないのかどうか伺いたい。

十二 同様に、沖縄開発庁は、第二次沖縄振興開発計画を誠実に執行する意思があるならば、防衛庁に対して、早急に那覇空港の利用を止めるように、申し入れるべきであると思うが、その意思があるかどうか承りたい。

十三 第二次沖縄振興関発計画にいう「中核的な民間空港とし、また、国際交流の拠点としての那覇空港の整備、拡充を図ること」と「自衛隊との共用」という二つの政策は、二律背反し、相矛盾する政策ではないのか。

  右質問する。