質問主意書

第101回国会(特別会)

質問主意書


質問第一五号

わが国が独自に対応すべき「限定的且つ小規模侵略」の概念に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十九年四月二十五日

秦 豊   


       参議院議長 木村 睦男 殿


   わが国が独自に対応すべき「限定的且つ小規模侵略」の概念に関する質問主意書

 わが国が独自に対応すべき「限定的且つ小規模侵略」についての概念ととらえ方については、必ずしも明確ではない。
 よつて、次の点について質問する。

一 そもそも「限定的且つ小規模侵略」とは、侵攻手段と地域、侵攻兵力について、どの程度を考えたものなのか。

二 「限定的且つ小規模侵略」とは、何を基礎にしたものなのか。これは、自衛隊の能力として守り得る上限を踏まえたものなのか。それとも、極東ソ連軍の対日侵攻指向能力の見積りが基礎となつているのか。

三 昭和五十六年の防衛白書は、わが国に対する武力攻撃の態様を分類し、(1)陸・海・空の戦力をもつて戦略上の重要地域を占領し既成事実化する場合、(2)海上又は航空戦力をもつて日本の産業基盤等を破壊する場合、(3)海上又は航空戦力をもつてわが国周辺の海、空の交通を妨害する場合をあげているが、このうちどのケースが、「限定的且つ小規模侵略」に該当するのか。

四 翌昭和五十七年の防衛白書では、先にあげたそれぞれのケースが複合する場合を予測しているが、「複合するケース」になれば、もはや「限定的且つ小規模侵略」の枠をはみ出すのではないのか。

五 「防衛計画の大綱」水準を設定した昭和五十一年当時と現状とを比較して、極東ソ連軍の対日侵攻能力にはどの程度の変化が生じているのか。

六 最近の米国防報告によると、ソ連は、戦略空挺師団を編成して対NATOや、極東での緊要な作戦を指向するとされているが、こうした動向は、極東ソ連軍の対日侵攻能力にどのように影響すると考えるのか。

七 自衛隊の想定は、現在でも依然として「限定的且つ小規模侵略」なのか。

八 自衛隊はすでに「限定的且つ小規模侵略」に対する阻止力を備えていると考えるのか。それとも、「防衛計画の大綱」水準の戦力を備えてはじめて「限定的且つ小規模侵略」に対応出来るのか。

  右質問する。