質問主意書

第101回国会(特別会)

質問主意書


質問第六号

旧国際電気通信株式会社の解散前に退職した社員に対する恩給法等の期間の特例通算に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十九年二月十八日

二宮 文造   


       参議院議長 木村 睦男 殿


   旧国際電気通信株式会社の解散前に退職した社員に対する恩給法等の期間の特例通算に関する再質問主意書

 昭和五十八年十一月十八日付内閣答弁書(内閣参質一〇〇第一三号)をいただいたが、なお、不明確、不十分な点が残されているので、以下の諸点についてさらに見解を承りたい。

一 恩給法等の適用について、「旧国際電気通信株式会社の社員期間を一定条件の下に公務員期間に通算することとしているのは、昭和二十二年五月二十五日に同社の業務が政府に引き継がれたことに伴う特例的な措置であるので、御指摘の事例についてまでこのような特例措置を及ぼすことは適当ではない」と答弁しているが、ここで言う「一定条件」とは、基本的には同社業務が昭和二十二年五月二十五日に政府に移管された時点で社員であつた者が、引き続いて公務員となつた場合に限定してのことである。
 しかし、問題として指摘したいことは、旧国際電気通信株式会社は、同会社法第一条で「政府ノ用ニ供スルコトヲ目的トスル株式会社トス」と規定されていることからも理解できるように国策会社であつたこと、さらに、同法第二条第一号の「外国ニ於ケル電気通信事業ノ経営」及び同条第二号の「外国ニ於ケル電気通信ノ設備及其ノ附属設備ノ貸付」などの事業を当時の政府の命令によつて実施するため、旧逓信省等を諭旨退職(勧奨退職)させられた外地派遣の社員が、戦後、GHQの覚書によつて会社業務が政府に移管される前に、自らの意思に係わりなく人員整理(第一次整理約二千二百名、第二次整理約六百名)により退職を余儀なくされたという事実について、どのように考えるかということである。
 そこで、このような事実経過を踏まえて考えた場合、退職を余儀なくされた後に自力で逓信省等に公務員として再就職した者についても、社員期間を恩給期間に通算するのが妥当ではないかと考えるので、重ねて答弁されたい。

二 第八十五回国会において、本院で採択され、内閣に送付された「旧国際電気通信株式会社等の解散前に退職した社員に対する恩給法等の期間通算に関する請願」の処理要領に係る答弁についても納得できない。
 退職手当に係る部分についての特例措置に関する実益の有無は、勤続三十五年以上と三十五年未満の者が何名おり、また、何名いたのか、実情を調査してみなければ明らかにならないとみるのが妥当である。
 そこで、この点について、調査を実施したのかどうか。また、実施しておれば、その結果を明らかにされたい。
 さらに、恩給に係る部分について言えば、確かに答弁書でも述べているように、昭和五十五年の恩給法等の一部改正によつて、旧国際電気通信株式会社等の社員期間の通算条件の緩和が昭和五十五年十月から図られている。
 しかし、この通算条件の緩和は、昭和二十年八月十五日の時点で同社の社員であつた者が、会社業務が政府に引き継がれるまでの間に恩給公務員となつた者について、社員期間を恩給期間として通算されるということであつて、会社業務が政府に移管された後に恩給公務員に任用(採用)された者については、適用が除外されているのである。
 従つて、「昭和五十五年の恩給法等の一部改正によつて措置済みである」との答弁には承服できないので、重ねて答弁されたい。

三 旧国際電気通信株式会社を外国特殊法人に政令指定することの妥当性の根拠は、一の質問とも関連するが、当時、同会社法によつて国策会社として位置づけられ、日本政府と特殊な関係にあつたこと、さらに、日本電信電話公社の事業と同種の事業である同法第二条第一号及び同条第二号の事業をパラオ支社管内(パラオ、サイパン、トラック、ヤップ等の島)、海南島支社管内、南方総局管内(旧仏印サイゴン、シンガポール等)、香港支社管内、東印度総局管内(セレベス、ボルネオ、ニューギニア等)といつた外地及び外国において終戦時まで実施していたことが、「国際電気通信株式会社史」によつて明らかになつている。
 そこで、このように政令指定の具体的条件が具備されているのであるから、速やかに同社を「恩給法の一部を改正する法律附則第四十三条の外国特殊法人及び職員を定める政令」(昭和三十八年六月二十七日、政令第二百二十号)の指定対象とすべきではないかと考えるがどうか。重ねて答弁されたい。

  右質問する。