質問主意書

第101回国会(特別会)

質問主意書


質問第二号

「五六中業」の今後に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十九年一月二十六日

秦 豊   


       参議院議長 木村 睦男 殿


   「五六中業」の今後に関する質問主意書

 来年度の防衛予算案をめぐる折衝を通じて、五六中業の達成が各方面から危ぶまれているが、今後の問題点について質問する。

一 正面装備全体で見た場合、五十八及び五十九両年度の五六中業達成率は、当初目標の四〇パーセントを大きく下回つて二七、八パーセントに止まつているうえ、六十年度の財政事情もさほどの好転が望めない。五六中業の期間内達成は、もはや不可能とするのが今や一般的な予測とされているが、このような情勢の中で政府は、なお且つ五六中業の期間内達成を今後とも第一義的にめざし続けるのか。

二 五六中業の期間内達成は、一種の努力目標であり、一国の財政事情を無視した防衛力整備は国民的共感を呼ばないと考えるのか。

三 仮に、五六中業の期間内達成をあくまで政府の目標として堅持するとするならば、それは何故なのか。その最大の論拠と認識を改めて伺いたい。

四 防衛費は、五十九年度でさえ人事院勧告の推移によつてはGNP比一パーセントを突破するものと見られており、六十年度では、突破はもはや必至であろう。勿論、防衛費のGNP一パーセント問題は、三木内閣以来の政策であつて、それ自体に絶対性はあるまい。現に、去る五十七年七月六日、参議院内閣委員会での私の質疑に対し鈴木総理は、「五六中業期間中の防街費が客観状勢次第では一パーセントを超えることもあり得る」という趣旨の答弁をはじめて行い、更に「GNP比一パーセントより五六中業達成を優先する」考えを示唆している。中曽根内閣は、GNP比一パーセント以内を今後にわたる方針として堅持するのか。それともパーセンテージは相対的な政策判断の領域としてとらえ、五六中業達成の方をより優先する考えなのか。

五 現行の五六中業は、去る五十一年十月二十九日、国防会議が決定した「防衛計画の大綱」に定める防衛力の水準達成を目標としているが、政府は、大綱水準の戦力を備えるべき自衛力の上限と考えているのか。それとも望ましい自衛力の質・量は、今春から策定に入るといわれる五九中業において改めて検討するのか。

六 五九中業は、何をもつて検討作業の前提ないし力点とするのか。

七 五九中業においては、五六中業が前提とした防衛計画大綱の水準は踏襲するのか。それとも、大綱水準の見直しを含めた策定作業を考えているのか。

  右質問する。