質問主意書

第100回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一四号

内閣参質一〇〇第一四号

  昭和五十八年十一月二十二日

内閣総理大臣 中曽根 康弘   


       参議院議長 木村 睦男 殿

参議院議員下田京子君提出水田利用再編第三期対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員下田京子君提出水田利用再編第三期対策に関する質問に対する答弁書

一について

(1) 米需給均衡化対策は、長期的視点に立つて、米の消費拡大を推進しつつ、需要に即応して米の生産を計画的に調整する等により米の需給の均衡を図ることを目的とするものであり、その推進に当たつては、米の需給動向等を的確に反映させているところである。
(2) 水田利用再編第三期対策(以下「第三期対策」という。)においては、現下の米の在庫状況等にかんがみ、転作等目標面積を六十万ヘクタールとし、その期間中、各年平均四十五万トンの計画的な在庫積増しを行うこととしており、今後とも、米の安定供給が図られるよう、食糧管理制度の適切な運用に努めてまいりたい。
(3) 最近の不作は、基本的には低温、台風等の気象条件の影響が大きいと考えているが、今後とも、所要の技術指導に一層努めてまいりたい。
(4) 第三期対策の基準単収は、近年の単収の推移、品種・栽培技術の動向、農家、指導機関等の作柄安定への取組状況等を総合的に勘案して設定したものであり、見直しの必要はないと考えている。
(5)及び(6) 米の政府売渡価格については、食糧管理法の規定に基づき、家計費及び物価その他の経済事情を参酌し消費者の家計の安定を旨として、米価審議会の意見を聴いて適正に決定してまいりたい。
 なお、麦の政府売渡価格については、近年、米を中心とした食生活への誘導を図るという観点等から、米価との相対関係にも配慮しつつ、適正に決定しているとこである。

二について

(1)及び(3) 第三期対策における転作奨励補助金の基本額については、転作等の実施の状況、昭和五十七年八月二十三日の農政審議会の報告及び臨時行政調査会の「行政改革に関する第五次答申」、米と転作作物との収益性格差の動向等を総合的に勘案して、十アール当たり八千円引き下げることとしている。
(2) 麦及び大豆は、転作推進上の重点作物として位置付けており、今後とも、単収の向上、経営規模の拡大等を通じて生産性の向上に努めてまいりたい。
(4)及び(5) 転作定着化推進加算の第一種加算及び第二種加算の重複交付については、考えていない。
 また、加算制度等の詳細については、今後検討してまいりたい。
(6) 転作の定着化を促進するに当たつては、転作作物の生産性の向上を図る必要があり、このためには、転作の集団化、団地化等を促進することが不可欠であると考えている。第三期対策における転作奨励補助金については、このような観点から、転作の集団化、団地化等を促進する加算額部分の割合を高めることとしているところである。また、転作の定着化を促進するため、今後とも、転作条件の整備を進めてまいりたい。
(7) 米の政府買入価格については、今後とも、食糧管理法の規定に基づき、生産費及び物価その他の経済事情を参酌し米の再生産を確保することを旨として、米価審議会の意見を聴いて適正に決定してまいりたい。
 転作作物の生産者価格については、麦、大豆及びてん菜のように農業パリテイ指数を用いて算定するものがある等必ずしも生産費を基準としていないが、その水準は、ほぼ生産費を償うものとなつている。
 土地基盤整備、技術開発等の転作条件の整備については、従来から重点的に実施してきたところであり、今後とも、各般の施策を進めてまいりたい。

三について

(1)から(3)まで 他用途利用米については、生産者と実需者との自主的な取組により生産・流通が行われることを予定しているものである。
 したがつて、その供給価格は、当事者間の話合いにより決定されるべき性格のものであり、米の政府買入価格についての食糧管理法第三条第二項の規定とは直接の関係はない。
 なお、いわゆるとも補償については、現在、生産者団体において検討が行われているところであり、その推移を見守つてまいりたい。
 いずれにしても、他用途利用米の適正な生産・流通が行われるよう、政府としても所要の助成措置を講じることとしている。
(4) 他用途利用米については、その適正な管理を行うため、食糧管理制度の枠組みの中で、自主流通ルートに準じ、生産者と実需者との契約に基づき流通させることとしており、他用途利用米の導入が御質問のような米の全量管理方式の見直しにつながるものではない。
(5) 昭和五十年度から昭和五十三年度までの加工原材料用の米の需要については、需給計画上、全量国内産古米で充当することとしていた。
 なお、その売渡価格は、第一次過剰米処理の際の売渡価格、その後における主食用の米の政府売渡価格の改定状況等を考慮して決定した。
(6) 他用途利用米については、水田の有効利用等を図る観点から、加工原材料用の米を需要に応じて国内生産により供給するため、第三期対策の一環として所要の助成措置の下に導入することとしたものである。

四について

(1) 農産物貿易問題については、それぞれの立場によつて種々の意見があることは承知している。
 牛肉及びオレンジの自由化については、我が国の国内の生産事情等からすれば応じ難い問題がある。また、米については、我が国農業にとつて基幹となる作物であるとともに、国民にとつて最も重要な食糧であるので、今後とも自由化する考えはない。
(2) 昭和五十七年二月のいわゆる江崎ミッションとブロック農務長官の会談の際、同長官から、日本がもつと米国の農産物を買つてほしいという希望が表明された中で、日本が米国から米の輸入をしてくれれば有り難い旨の発言があつたことは事実である。
 また、加工原材料用の米に関し、実需者団体の一部に外国産米の輸入の要望があることは承知している。
(3) 米は、我が国農業にとつて基幹となる作物であるとともに、国民にとつて最も重要な食糧であるので、今後とも、国内で自給することを基本としていく考えである。