第100回国会(臨時会)
質問第一七号
国公立大学の共通第一次学力試験に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。 昭和五十八年十一月十四日 小野 明
国公立大学の共通第一次学力試験に関する質問主意書 国公立大学の共通第一次学力試験は、昭和五十四年度から実施され、今年で五年目を迎えた。共通一次による入試制度については、全国の国公立大学が共通一次という一つの物差しによつてランク付け、序列化されたこと、あるいは、共通一次の実施期日、受験科目等の関係で、駆け足の授業を余儀なくされたり学校行事に支障が出るなど、高校教育にも悪影響が及んでいる。さらに受験生にとつては、進路決定やマークシート対策のために、従来にも増して受験産業に頼らざるを得ない状況にあること、五教科七科目という多くの科目の勉強を強いられるとともに、一次、二次と二度の試験が課せられ負担が増したこと、それに伴い私立大学との併願が困難になつたばかりか、一・二期校制の廃止により国公立大学の受験の機会が一回に限定されたことなど多くの問題点が指摘されている。
一 共通一次を過去五年間実施した結果、共通一次による入試制度で評価すべき点及び問題点をそれぞれ大学側、高校側、受験生の立場に分けて示されたい。 二 共通一次を制度化する際、五十二年四月二十一日の本院文教委員会においては、「この入試制度の改善措置については、その実施結果を踏まえた見直しのため、適当な時期に国会に報告すること。」という附帯決議が行われている。共通一次の問題点が多々指摘されている現在、政府は国会に報告しなければならないと考えるが、いつ、どのような形で国会に報告するつもりか伺いたい。 三 共通一次の現役志願率は年々ダウンし、五十九年度は過去最低となり、「国公立離れ」を裏付けている。こうした傾向をどのように評価しているか。また、その原因をどのように考えているか伺いたい。 四 受験生の負担軽減を図るために、共通一次の受験科目数の軽減は重要と思われる。本年三月十八日の衆議院文教委員会において、文部省大学局長は、受験科目数の軽減について六十一年度からの改正を目指し、五十八年度中に結論を出す旨答弁した。受験科目数軽減の必要性、改正の方向とその時期、それらについて結論を出す時期を示されたい。 五 前記四とも関係するが、各大学が特色を発揮し、大学の序列化を防ぐためには、各大学が自主的に受験科目を選択できるいわゆるアラカルト方式が重要と思われる。「アラカルト方式」に対する考え方、現在の検討段階、今後の改善の方向について伺いたい。
六 新聞報道によると文部省は、国公立大の複数受験を可能にするため、全大学をいくつかのグループに分け、二次試験の実施日をおのおのずらすという「グループ試験制度」を六十一年度から実施する方針を固め、国立大学協会に提示したとのことである。その具体的内容、現在の検討状況、改善の時期等を示されたい。
七 (一) 国立大学協会理事会において、六十年度以降の共通一次の実施期日を現行より二週間程度繰り下げる案が決定されたとのことである。出願から合格発表に至るまで国公立大学の入試スケジュールはどうなるのか。また、それが正式決定されるのはいつになるか伺いたい。
八 本年三月二十四日の本院文教委員会において文部省大学局長は、共通一次の成績によつて二次試験の受験者を絞る「足切り」について、極力廃止の方向で指導する旨答弁した。「足切り」の現状と廃止のための指導方針を示されたい。 九 職業高校出身者、身体障害者、社会人、帰国子女、留学生等を国公立大学も積極的に受け入れる必要があると思われる。その必要性、現状、対策について伺いたい。 十 受験地獄の緩和、我が国の高等教育の発展のためには、大学間格差の解消が不可欠と思われるが、対策を示されたい。 右質問する。 |