質問主意書

第100回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一三号

旧国際電気通信株式会社の解散前に退職した社員に対する恩給法等の期間の特例通算に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十八年十一月八日

二宮 文造   


       参議院議長 木村 睦男 殿


   旧国際電気通信株式会社の解散前に退職した社員に対する恩給法等の期間の特例通算に関する質問主意書

 政府は、旧国際電気通信株式会社の社員及び旧満洲電信電話株式会社など在満支の外国特殊法人の職員のうち、戦後引き続いて公務員となつた者について、恩給法・国家公務員等退職手当法の特例措置によつて、それぞれの社員、職員期間を基礎在職年に算入する特例通算等の措置を実施している。
 しかし、旧逓信省等を諭旨退職(勧奨退職)させられた後に、旧国際電気通信株式会社の社員となつて、南方占領地域に派遣され、旧陸海軍の臨時通信業務等に従事した者については、戦時中の処遇に対する終戦処理が行われないままの状況に置かれており、不平等な取扱いとなつている。
 よつて、次の諸点について政府の明確な見解を承りたい。

一 旧国際電気通信株式会社は、GHQの覚書によつて、昭和二十二年五月二十五日、会社の業務が政府に移管されたのを機会に解散させられた。
 一方、会社側は解散前において、すでに自社の経営軽量化を図るために人員整理を行つた。その際、内地への引揚げが遅れた南方地域からの帰還社員が大きな対象となり、内地上陸から三か月間の期限付き社員の処遇を施しただけで、一方的に身分の消滅を通告した。
 この結果、帰還社員は会社の解散前に退職を余儀なくされたばかりか、社員であつた期間が恩給法・国家公務員等退職手当法の特例措置である通算の対象外に置かれている。
 このことは、旧国際電気通信株式会社の通算された社員、外国特殊法人の職員にとられている処遇と比較して、甚だ不公平な取扱いではないかと考えるがどうか。

二 第八十五回国会において、「旧国際電気通信株式会社等の解散前に退職した社員に対する恩給法等の期間通算に関する請願」が本院で採択され、内閣に送付された。
 この請願に対する処理経過によれば、政府は、「旧国際電気通信株式会社の業務の政府への引継ぎに伴い公務員となつた者については、その社員期間を恩給等の基礎となる公務員期間に加えるという特例措置が講ぜられているが、その引継ぎ前に同社を退職した者についてまで同様の措置を及ぼすべきかどうかについては、当時の実情等を考慮しつつ、今後慎重に検討してまいりたい。」と処理要領で述べている。
 そこで、これまでにどのような検討を行い、どのような改善を図ろうとしているのか明らかにしていただきたい。

三 旧国際電気通信株式会社は、旧満洲電信電話株式会社、旧華中電気通信株式会社等の外国特殊法人と同種同業の事業体である。
 しかるに、旧国際電気通信株式会社は、「恩給法の一部を改正する法律附則第四十三条の外国特殊法人及び職員を定める政令」(昭和三十八年六月二十七日、政令第二百二十号)から除外されている。
 いうまでもなく、旧国際電気通信株式会社は、国策会社として設立され、軍の要請により、軍極秘の暗号書の取扱いをはじめとして、軍用通信の一部補助、一般公衆通信等の業務を行い、重要な役割を担つてきた。
 したがつて、政令指定の除外は、戦時中の実態を全く無視した不合理な取扱いといわざるを得ない。
 そこで、旧国際電気通信株式会社についても外国特殊法人の政令指定とすべきではないかと考えるがどうか。

  右質問する。