質問主意書

第100回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一〇号

沖縄の野生動物保護に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によつて提出する。

  昭和五十八年十月二十日

喜屋武 眞榮   


       参議院議長 木村 睦男 殿


   沖縄の野生動物保護に関する質問主意書

 ガラパゴス諸島が、チャールス・ダーウィンの「種の起源」の島として世界的に有名なことは、つとに御承知の通りである。しかし、一方、沖縄が「東洋のガラパゴス」と呼ばれていることを知る人は、余りにも少ない。動物生態学を専門とされる聖母女学院短大教授伊藤正春先生が、九月二十九日付け朝日新聞夕刊紙上において、述べておられるところによれば、「琉球列島のもつ進化論上の価値は、すでに世界的に有名なガラパゴス諸島に、勝るとも劣らないものと考えられる。」とのことである。しかるに、現地沖縄の野性動物保護の実態は、極めて憂慮すべき状態であると言われている。よつて、以下の点について質問をする。

一 沖縄県において、特別天然記念物及び天然記念物に指定された動物には、どんなものが居るか、そして、現在どのような保護対策と保護に必要な財政措置が採られているか、伺いたい。

二 ガラパゴス諸島では、ガラパゴス方式といわれる全域国立公園指定による保護がなされているとのことであるが、沖縄には、この方式の適用は可能か。もし可能でないとすれば、その隘路は何か。また、全域適用が不可能とすれば、部分的に、一島あるいは一地域を限つて適用することはどうか。

三 沖縄には、広範囲に米軍基地と自衛隊基地が存在するが、その存在と“進化論の宝庫”の防衛とは、どのように調和させられるか、承りたい。

四 政府は、沖縄を含む琉球列島が“進化論の宝庫”としての価値を持つことを認識されているか。もし認識されているとすれば、その価値を守るための保護対策と資金援助の必要性について、どのように考えているか承りたい。

五 「東洋のガラパゴス」の価値を国際的に公認させるために、何か具体策を検討される考えはあるか。また、国際的な研究所を誘致して、貴重な野生動物を保護すると同時に、学問研究の振興と文化の交流に資する考えはないか。

六 最後に、現に国立公園に指定されている西表島でさえ、何らの観光規制もなく、野放しに近い環境破壊を生じているといわれる点については、まことに憂慮に堪えないところである。これに対して、政府は、早急に善後策を立てるべきであると考えるが、この点、どのように対処される考えか、見解を伺いたい。

  右質問する。