質問主意書

第98回国会(常会)

答弁書


答弁書第一三号

内閣参質九八第一三号

  昭和五十八年五月十七日

内閣総理大臣 中曽根 康弘   


       参議院議長 徳永 正利 殿

参議院議員秦豊君提出シーレーン問題の基本的認識に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員秦豊君提出シーレーン問題の基本的認識に関する質問に対する答弁書

一、二及び八について

 シーレーンという言葉は、いわゆるシーレーン防衛との関連で用いているものであり、シーレーン防衛は、有事の際国民の生存を維持し、あるいは継戦能力を保持する観点から、港湾・海峡の防備、哨戒、護衛等各種作戦の組合せによる累積効果によつて、海上交通の安全を確保することを目的とするものである。

三から七までについて

 我が国は、有事において、我が国周辺数百海里、航路帯を設ける場合にはおおむね千海里程度の海域において、自衛の範囲内で海上交通の安全を確保し得ることを目標に、防衛力の整備を進めてきている。また、我が国が憲法上認められていない集団的自衛権の行使を前提として行動することが許されないことはいうまでもない。
 我が国に対する武力攻撃がいかなる状況下で発生するかについては、一概にいえないが、日米安保体制の下で我が国を防衛する立場にある米国は、かかる我が国の基本的な考え方を十分理解した上で、我が国が我が国防衛のためになお一層努力することを期待している。
 なお、シーレーン防衛のための作戦は、我が国に対する武力攻撃が発生した場合に、自衛隊と米軍が共同して実施することとなつており、このことは、「日米防衛協力のための指針」にも示されているとおりである。

九について

 周囲を海に囲まれ、また、専守防衛に徹する我が国としては、シーレーン防衛のみならず、国土の防衛を有効に実施し得る縦深性のある質の高い防衛力の保持が当然重要であると考えている。

十及び十一について

 我が国の海上交通の安全が脅かされるような事態に有効に対処するためには、シーレーン防衛能力を整備することは、もとより重要である。他方、総合的な観点から我が国の安全を確保するためには、経済、外交等を含めた広い立場からの努力が必要であり、これら各般の施策については、政府として、整合性を保ちつつ推進すべきものであることほいうまでもない。