質問主意書

第98回国会(常会)

答弁書


答弁書第一〇号

内閣参質九八第一〇号

  昭和五十八年三月八日

内閣総理大臣 中曽根 康弘   


       参議院議長 徳永 正利 殿

参議院議員秦豊君提出対馬海峡西水道問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員秦豊君提出対馬海峡西水道問題に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 我が国に対する武力攻撃が行われた場合に、海峡防備のための作戦を実施することが我が国自衛のため必要不可欠と判断されるような場合であつても、我が国は、かかる作戦を第三国の領海内において行うようなことは考えていない。
 なお、我が国が仮に海峡防備のための作戦を行う場合には、その作戦は、我が国を攻撃している国に属する艦船の自由な通峡を制約し、広域哨戒、船団護衛等他の諸作戦との累積効果によつて、我が国の防衛に寄与することを目的とするものであり、したがつて、海峡の相当部分の海域において相手方の行動を制約することができれば、右の累積効果の重要な一部をなすものとして、十分意味があるものと考えている。

三から八までについて

 我が国に対して武力攻撃が発生した場合の海峡防備の在り方については、事態の様相により千差万別であつて一概には言えず、抽象的かつ仮定の問題についてあらかじめ我が国の対処振りを特定することは適当ではないが、いずれにせよ、我が国は、沿岸国であり、かつ、友好国である韓国の意向を配慮することなく、対馬西水道の通峡阻止を行うことは考えていない。
 また、我が国として仮に通峡阻止を行うようなことがあるとしても、我が国は憲法上集団的自衛権の行使を禁止されており、我が国による実力の行使が、我が国の個別的自衛権の行使として認められる限度内に限られることはいうまでもない。