質問主意書

第98回国会(常会)

答弁書


答弁書第一号

内閣参質九八第一号

  昭和五十八年一月二十五日

内閣総理大臣 中曽根 康弘   


       参議院議長 徳永 正利 殿

参議院議員黒柳明君提出軍事技術の対米提供に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


   参議院議員黒柳明君提出軍事技術の対米提供に関する質問に対する答弁書

一、三及び四について

 今回の政府の決定は、日米間の防衛分野における技術の相互交流を図ることが日米安保体制の効果的運用を確保する上で極めて重要となつていることにかんがみ、その相互交流の一環として米国に武器技術(その供与を実効あらしめるため必要な物品であつて武器に該当するものを含む。)を供与する途を開くこととし、その供与に当たつては、武器輸出三原則(昭和五十一年二月二十七日の武器輸出に関する政府方針等を含む。以下同じ。)によらないこととしたものである。
 政府は、具体的事例に即して適当と自主的に判断したものについて日米相互防衛援助協定の関連規定に基づく枠組みの下で供与を認めることとしており、米国から要請があつたもののすべてについて供与を認めるというものではない。また、同協定第一条は、同協定に基づいて供与される援助につき国連憲章と矛盾する使用の禁止、供与国の同意なく第三国へ移転することの禁止等を定めているので、本件供与を同協定の枠組みの下で行うことにより、国際紛争等を助長することを回避するという武器輸出三原則のよつて立つ平和国家としての基本理念は確保されることとなる。

二について

 本件については、政府部内で慎重に検討を重ねてきた結果、去る一月十四日に政府として結論を得るに至り、それを内閣官房長官談話の形で発表したところである。

五について

 民間企業に対しその保有する技術の対米供与を義務付けることは、考えていない。